...手早くその箱の蓋を開けて藍と洋紅との二色(ふたいろ)を取上げるが早いかポッケットの中に押込みました...
有島武郎 「一房の葡萄」
...蓋の無い盆の上にのっていた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...パチンと音をさせて蓋(ふた)を閉じた...
江戸川乱歩 「一枚の切符」
...瘡蓋を剥(は)がしては面白がっていた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...下部を蓋ふ鎧と合する處...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...蓋し新聞にとっては事実そのものはどうでもいいので...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...奇人は狂人に近し勤王の志士を呼んで奇人となすが如きは蓋し官の喜ばざる処なるべし...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...なお予科の加入者増加は予科部独立の蓋然率を増したとともに...
野呂栄太郎 「三田社会科学研究会報告」
...「蓋もし衣にだにも……」という一節はマタイ伝の中に見つかった...
原民喜 「忘れがたみ」
...アコ長はありあう木ぎれでピッタリと油壺の蓋をふさぐと...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...自動的にテンピの蓋があくようになっている...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...義眼の眼蓋は主人が眠つても...
牧野信一 「木枯の吹くころ」
......
牧野富太郎 「植物一日一題」
...今度は火箸(ひばし)で円い蓋の端を強く押すと円形の鍋が自分でクルリと裏返しになって両面を自由に焼ける...
村井弦斎 「食道楽」
...金蓋(かなふた)を蝶番(ちょうつがい)に作りて覆(おお)ひたり...
森鴎外 「うたかたの記」
...蓋をして打紐(うちひも)をかけ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「……晁蓋(ちょうがい)どの」やっとその沈思から面(おもて)をあげた呉学人は...
吉川英治 「新・水滸伝」
...天蓋のそばには、ポルトガル人二人が松明を持ち、最古参の日本人二人が燭台に蝋燭を立てて持ち、さらに二人の白法衣を着たものが蝋燭を持ってついていた...
和辻哲郎 「鎖国」
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