...肥った妻と自分に似て頭顱ばかり大きく発達した女の兒と蒼白い顔をした自分とが暗い寒い一間で寒さと飢えとに戦えていた...
田山花袋 「トコヨゴヨミ」
...彼の蒼白い頬は、自分のした仕事を私が知っていると云うことをきいて、嬉しさで紅く輝いた...
コナンドイル 三上於莵吉訳 「入院患者」
...精神も蒼白いようだし...
豊島与志雄 「失われた半身」
...お新は蒼白い微笑をした...
豊島与志雄 「黒点」
...その代りに蒼白い面の表一面に漲(みなぎ)るような沈痛の色...
中里介山 「大菩薩峠」
...月の光に照らされた蒼白い面(かお)の色を見れば...
中里介山 「大菩薩峠」
...」理智的な鋭さを持つた武井の蒼白い顏が...
南部修太郎 「猫又先生」
...雨に濡れた蒼白い顔が...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...蒼白い――が妙に人を牽付(ひきつ)ける顏...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...蒼白い顏や、痙攣(けいれん)する唇や、洞(うつろ)な眼から、平次は事件の重大さを一ぺんに見て取つたらしく、何よりこの娘の心持を鎭めて、その口から出來るだけの事を引出さなければと思ひ込んだのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...蒼白い顔が少し弱々しく見えますが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...避難所の窓からぼんやりと蒼白い薄陽がさしこんできて...
久生十蘭 「海豹島」
...霧のなかで蒼白い舌を吐いている...
久生十蘭 「キャラコさん」
...美しいお嬢様(パンノチカ)?」涙の玉がその蒼白い顔をつたつて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...蒼白い月の光の中に氷結したようにシインと並んで立っていた...
夢野久作 「戦場」
...蒼白い薄明、極北地の一種の夕暮は、つひに夜とはならずして、今や、曙光のやうなものとなつて、海のあらゆる鏡は、薔薇色のうねりを立てて、それを反射した...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...下から蒼白い顔を向けた...
吉川英治 「剣難女難」
...靄に溶け込んだ蒼白い月の光りの中に...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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