...実に一昨日(をとつひ)の秋風すずろに蒼古の市に吹き渡る穏やかな黄昏時(たそがれどき)であつた...
石川啄木 「葬列」
...實に一昨日(をとつひ)の秋風すずろに蒼古の市に吹き渡る穩やかな黄昏時(たそがれどき)であつた...
石川啄木 「葬列」
...蒼古の白檜雪をにない...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...それは蒼古の色を帯び...
西尾正 「墓場」
...天蓋(てんがい)を被った蒼古な虚無僧(こむそう)のいでたちで...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...後者は学究的で蒼古(そうこ)な趣がある...
野村胡堂 「楽聖物語」
...シュヴァイツァー博士のことについては、筆者の旧著にも詳述し、津川主一氏にはバッハ伝の訳もあり、ここには重複を避けるが、この音楽家にして宗教家、人道の戦士を兼ねたシュヴァイツァー博士が、バッハの真面目(しんめんぼく)を伝うる熱情に燃えて、二百年前の機構のオルガンを捜し出し、バッハの真精神に還って演奏した第一集の「トッカータとフーガ、三曲の前奏曲とフーガ、一曲の幻想曲とフーガ、並びに小フーガ=ト短調」と第二集の「十三曲のコラール」は、素朴(そぼく)、蒼古(そうこ)、純正、端麗さにおいて、まさに二百年前のバッハの世界を偲(しの)ばしむるものがある...
野村胡堂 「楽聖物語」
...蒼古(そうこ)として生活感のないものに属するからだ...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...賤民でさえ恐れ入って近づかない蒼古たる廃塔のてっぺんに幽閉され...
久生十蘭 「カストリ侯実録」
...それよりも一叢のとくさが流れの上手に蒼古として簇生してゐるのが嬉しかつた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...浅い芽の色が蒼古たる石を上と下とから形を描き合せるのかも知れぬ...
室生犀星 「庭をつくる人」
...石床蒼古の上に停まるのであったが...
室生犀星 「庭をつくる人」
...この島を中宿とするのは蒼古以来の習わしであったろう...
柳田国男 「雪国の春」
...家のそばには蒼古(そうこ)とした鳥居がある...
吉川英治 「上杉謙信」
...あなたの書には實に蒼古な趣がありますが...
吉川英治 「折々の記」
...すると蒼古(そうこ)たる転法輪寺の大屋根と...
吉川英治 「私本太平記」
...蒼古(そうこ)とした禅刹(ぜんさつ)の門だった...
吉川英治 「新書太閤記」
...蒼古とした樹林の崖や...
吉川英治 「宮本武蔵」
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