...下島空谷(しもじまくうこく)氏が近来その句を蒐集してゐる...
芥川龍之介 「雑筆」
...しかし僕は蒐集家とは別の鋳型(いがた)に属してゐる...
芥川龍之介 「続野人生計事」
...一度帰られてから八十二年に又来朝せられたが之れは先生には主として日本の陶器を蒐集せらるる為めであった...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...材料を蒐集するというのがそれである...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...なぜなら、私は、彼の名前こそ知らないが、彼がオスロかどこか北方の首府に仕事と地位を持っている希臘(ギリシャ)の若い海軍武官であることも、いつも小さな秤(はかり)を携帯していて、それで注意深くフィリップ・モウリスの上等の刻煙草(きざみたばこ)を計って、自分で混ぜて、晩餐後の張出廊(ヴェランダ)で零下七度の外気へゆっくりと蒼い煙を吹き出す習慣のあることも、例の大陸朝飯(あさめし)――珈琲(コーヒー)・巻麺麭(まきパン)・人造蜂蜜・インクの香(におい)の濃い新聞・女中の微笑とこれだけから構成されてる――を極度に排斥して、BEEFEXと焼林檎(やきりんご)と純白の食卓布に固執していることも、趣味として部屋では真紅のガウンを着ていることも、いまはバルビウスの“Thus and Thus”を読んでいることも、そして、実を言うと、それよりも巴里(パリー)版ルイ・キャヴォの絵入好色本のほうが好きらしいことも、すべての犬を怖がって狆(ちん)に対しても虚勢を張ることも、英吉利(イギリス)の総選挙を予想して各政党の詳細な得票表を作ってることも、その一々に関して食後から就寝までの時間を消すに足る綿密な説明を用意してることも、それから、これは前に言ったが、半東洋風の黒い頭髪をロジェル・エ・ギャレ会社の製品で水浴用護謨(ごむ)帽子のように装飾して――で、私は彼にひそかにこの綽名(あだな)を与えたわけだが、――聖(サン)モリッツ中の異性の嗅覚を陶酔させようとTRYしていたことも、要するに、ロジェル・エ・ギャレという存在は、或いは彼自身の饒舌により、または、私の作家的観察眼で、ほとんど全部、私は、摘(つま)み上げて、蒐集して、分類して、ちゃんと整理が出来上っているのである...
谷譲次 「踊る地平線」
...英国の蒐集家中にてはEdgar(エッガア)Wilson(ウィルソン)の所蔵品最も優(すぐ)れたりといふ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...曾て蒐集した資料の中役に立つものがあつたら喜んで提供しようと言つた...
永井荷風 「来訪者」
...カーライルの歿後は有志家の発起(ほっき)で彼の生前使用したる器物調度図書典籍を蒐(あつ)めてこれを各室に按排(あんばい)し好事(こうず)のものにはいつでも縦覧(じゅうらん)せしむる便宜(べんぎ)さえ謀(はか)られた...
夏目漱石 「カーライル博物館」
...私の考へを裏づけるやうな材料を蒐集し...
平林初之輔 「文学方法論」
...珠玉の類を蒐集(しゅうしゅう)するためには...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...我々にも知られた北歐民話の蒐集家であります...
宮原晃一郎 「スカンヂナヴィア文學概觀」
...守屋さんは千数百個の蒐集からあとの分はすつかり置き去りにして...
三好達治 「オルゴール」
...そこでわたくしは自ら「武鑑」を蒐集(しゅうしゅう)することに着手した...
森鴎外 「渋江抽斎」
...その蒐蔵の中には多くの見事な磚(せん)や瓦の外に...
柳宗悦 「全羅紀行」
...そうして京城景福宮内緝敬堂(しゅうけいどう)に一切の蒐集品を陳列するようになり...
柳宗悦 「民藝四十年」
...菫の方言など一諸君蒐集(しゅうしゅう)の民謡はいつも大なる興味を以(も)って拝見していますが...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...文化の美を蒐集し創造し得たパリーの偉大な原因であろう...
横光利一 「欧洲紀行」
...選(よ)り蒐(あつ)めてその粋(すい)を凝(こ)らしたものだった...
吉川英治 「新書太閤記」
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