...天井の電燈や後の葭戸(よしど)が映っている――そこへ一瞬間...
芥川龍之介 「妖婆」
...乃至(ないし)はまだ葭戸(あしど)にも変らない...
芥川龍之介 「妖婆」
...葭戸の開いた敷居越に...
泉鏡花 「浮舟」
...古ぼけた葭戸(よしど)を立てた縁側(えんがは)の外(そと)には小庭(こには)があるのやら無いのやら分(わか)らぬほどな闇(やみ)の中に軒(のき)の風鈴(ふうりん)が淋(さび)しく鳴り虫が静(しづか)に鳴いてゐる...
永井荷風 「すみだ川」
...そして境界に葭戸(よしど)を立てた...
永井荷風 「深川の散歩」
...酒楼(しゅろう)に上(のぼ)りても夜(よる)少しく深(ふ)けかかると見れば欄干(らんかん)に近き座を離れて我のみ一人葭戸(よしど)のかげに露持つ風を避けんとす...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...葭戸を立てる程の贅澤はなかつた...
長塚節 「開業醫」
...暑き日のさかりとて隔ての葭戸は明け放ちたるまゝなりければ...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...黒骨の葭戸の高座に明るく額(おでこ)の照る「三遊亭円右」の静かな人情話(はなし)が流れる...
正岡容 「山の手歳事記」
...半分ばかり葭戸を開けると...
正岡容 「寄席」
...夏の事とて目かくしにつけた葭戸を押して...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...三分の二ほど登ると社長室の葭戸(よしど)が見えた...
「一本の花」
...朝子が思わずもう誰も見えない暗い階段の下の方を見送っていると、あから顔の社長は、葭戸と平行に、書棚でも嵌め込む積りか壁に六尺に二尺程窪みがついている、その窪みの処から、悠(ゆ)っくりさり気なく室の中央へ向って歩き出した...
「一本の花」
...――夏は葭戸でもこしらえ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...今葭戸が机の前にしまっていて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そんな気持でこうやって葭戸のかげであなたへの手紙を書いている...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...もう葭戸(よしど)を入れなくちゃ...
森本薫 「みごとな女」
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