...涼しさやすぐに野松の枝のなり夕顔や酔(ゑう)て顔出す窓(まど)の穴山賤(やまがつ)のおとがひ閉づる葎(むぐら)かな第一は純然たる風景画である...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...畑の中の雑草は作物を乗りこえて葎(むぐら)のように延びた...
有島武郎 「カインの末裔」
...葎(むぐら)に路(みち)の曲角(まがりかど)...
泉鏡花 「雨ばけ」
...堤は茅萱や蓬や八重葎で青々と蔽われていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...香葎君等も一緒であつた...
高浜虚子 「椿子物語」
...丁度香葎君も出京して...
高浜虚子 「椿子物語」
...私は、此の日は俳句の会が午後からあるので、午からは外出せなければならず、香葎君、叡子さん、それに老妻をも加へて、四畳半で炬燵を取り囲んで、其の上でお惣菜の昼飯をしたゝめることにした...
高浜虚子 「椿子物語」
...そうしてその碑石が八重葎(やえむぐら)に埋もれた頃に...
寺田寅彦 「津浪と人間」
...おどろに葎(むぐら)のしげっていた...
久生十蘭 「あなたも私も」
...いくらかは花を植えてあった前庭も葛や葎にとじられて...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...葎(むぐら)や真菰(まこも)などが...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...倒れかかった門には葎の若葉がしげり...
堀辰雄 「曠野」
...そゞろにうかれ出たる鶉の足音聞きつけて葎(むぐら)より葎へ逃げ迷ふさまも興あり...
正岡子規 「かけはしの記」
...空に響く楽の音につれて彼等は躍りつゝ舞ひ上り飛び行くに我もおくれじと茨葎のきらひ無く蹈(ふ)みしだき躍り越え思はず野川に落ちしよと見て夢さむれば寝汗したゝかに襦袢(じゅばん)を濡して熱は三十九度にや上りけん...
正岡子規 「小園の記」
...山鳥一羽葎を飛び出でぬ...
正岡子規 「花枕」
...是非(ぜひ)とも家でパン種から拵(こしら)えて行くなら先ずホップス即ち葎草(りっそう)といって麦酒の種に使う苦い醗酵性(はっこうせい)の草を食品屋からお買いなさい...
村井弦斎 「食道楽」
...「國の爲捨る命はをしまねど路の葎となるぞ悲しき」「寥々月色斷頭場」の絶命の辭を殘したのを見ると...
横瀬夜雨 「天狗塚」
...葎(むぐら)と薊(あざみ)の花を踏みにじって奴国の方へ馳けていった...
横光利一 「日輪」
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