...涼しさやすぐに野松の枝のなり夕顔や酔(ゑう)て顔出す窓(まど)の穴山賤(やまがつ)のおとがひ閉づる葎(むぐら)かな第一は純然たる風景画である...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...堤は茅萱や蓬や八重葎で青々と蔽われていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...八重(へ)葎(むぐら)しげれる宿の寂しきに人こそ見えね秋は来にけりといふ小倉(をぐら)の色紙がかかつていた...
薄田泣菫 「茶話」
...其の翌日は年尾一家の疎開してゐた但馬和田山の古屋敷香葎君を訪ね...
高浜虚子 「椿子物語」
...香葎君は素顔君を伴つて...
高浜虚子 「椿子物語」
...其時は香葎君が叡子さんに代つて素顔君に肩をかしてゐた...
高浜虚子 「椿子物語」
...香葎君の手紙に、農地改革の事は非常に素顔君の神経を苦しめつゝある、その為めに俳句に興味を失つたやうである、といふ事を言つて来た...
高浜虚子 「椿子物語」
...丁度香葎君も出京して...
高浜虚子 「椿子物語」
...中村が葎(むぐら)をおしまげて腰をおろすと...
久生十蘭 「あなたも私も」
...おどろに葎(むぐら)のしげっていた...
久生十蘭 「あなたも私も」
...いくらかは花を植えてあった前庭も葛や葎にとじられて...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...葎(むぐら)や真菰(まこも)などが...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...倒れかかった門には葎の若葉がしげり...
堀辰雄 「曠野」
...磚(せん)のすき間から生えている葎までも何か大事そうに踏まえて...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...是非(ぜひ)とも家でパン種から拵(こしら)えて行くなら先ずホップス即ち葎草(りっそう)といって麦酒の種に使う苦い醗酵性(はっこうせい)の草を食品屋からお買いなさい...
村井弦斎 「食道楽」
...露しげき葎(むぐら)の宿にいにしへの秋に変はらぬ虫の声かなと御息所が言いかけた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「秋の野の露分け来たる狩りごろも葎(むぐら)茂れる宿にかこつな迷惑がっておられます」と言っているのを...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「――葎の門というところだな」彼は静かに眼をほそめた...
山本周五郎 「あだこ」
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