...槻や榎は殆ど同時に落葉するものかと考へてゐたが...
高浜虚子 「落葉降る下にて」
...こういう植物に詳しい人の話に常緑木でも時々落葉樹と同様に一時すっかり落葉することがある...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...他の落葉する木と共に全く枯木であるが...
高浜虚子 「百日紅」
...・みんなもがれてこの柿の木は落葉するばかり・この山奥にも田があり蝗があそんでゐる・りんだうはつゝましく蔓草のからみつき・見はるかす野や街や雲かげのうつりゆくを十一月三日天地玲瓏として身心清明...
種田山頭火 「其中日記」
...ひつそりと落葉する木の・音がして落ちるは柿の葉で・あれは木の実の声です・夜はしぼむ花いけてひとりぐらし夜に入つてから樹明君来庵...
種田山頭火 「其中日記」
...・どこやらに水の音ある落葉水音をたづねて落葉のなかへ・たたへて冬の水のすこし濁り・太陽がのぞけば落葉する家やたんぽぽはまだ咲かない雨の水だまり・けふは水がある川の何やかや流れる長い手紙をかけばしたしく虹がたち・あれこれ食べる物はあつて風の一日よい眼ざめであつた...
種田山頭火 「其中日記」
...落葉するだけ落葉して濡れてゐる・よごれものは雨があらつてくれた一月十三日ぐつすり寝た...
種田山頭火 「其中日記」
...・つかれてもどつてひなたの寒菊・いちにち風ふき誰もこない落葉する・悔いるこゝろに日がてり小鳥きてなくか・霜晴れ澄みわたるほどに散るは山茶花十二月四日冬ぐもり...
種田山頭火 「其中日記」
...もみづる山山 ├(雑草)・師走の空のしぐれては月あかり ┘・ハガキ一枚持つて月のあるポストまで・あるくともなくあるいてきて落葉する山十二月廿一日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...(七日)・くもりおもたい木魚をたたく・草刈るや草の実だらけ・落葉するする柿の赤うなる・ぶらぶら熟柿の夕焼・ばさりと落ちて死ぬる虫・更けるほどに月の木の葉のふりしきる□よい酒を飲めるやうになる自信はないけれど...
種田山頭火 「其中日記」
...日中は晴れたり曇つたり、夜に入つてしぐれる音か、落葉する音か、いづれ雨は近いだらうが、それがむしろ望ましいが、なか/\かたい天候である...
種田山頭火 「其中日記」
......
種田山頭火 「草木塔」
...斎藤豊作(ほうさく)氏の「落葉する野辺」など昔見たときは随分けばけばしい生ま生ましいもののような気がしたのに...
寺田寅彦 「二科展院展急行瞥見記」
...秋はまわりの山の木が落葉するためか鳥はみなこの島をめがけてねぐらをもとめにくる...
中勘助 「島守」
...桜と榎とは霜を待たず秋となれば直様(すぐさま)落葉する事他の木よりも早い...
永井荷風 「写況雑記」
...囀鳥軟風のふく日暗鬱な思惟(しゐ)にしづみながらしづかな木立の奧で落葉する路を歩いてゐた...
萩原朔太郎 「青猫」
...足元にのびて居る自分の影を見つめ耳敏く木の葉に霧のふれる響と落葉する声を聞いて居ると自(おのず)と心が澄んで或る無限(ママ)のさかえに引き入れられる...
宮本百合子 「秋霧」
...カサ……カサ……折々落葉する...
宮本百合子 「秋霧」
便利!手書き漢字入力検索