...わずかに落莫とした心もちから...
芥川龍之介 「或敵打の話」
...落莫たる孤独の情を齎(もたら)した...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...必ず落莫(らくばく)たる空虚の感じに圧倒されるのが常であった...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...それはここまでのみちすがらにさんざん私を悩ました、あの人気のない、落莫とした、取りつき端のないような景色よりも、更に思いがけないものだった...
伊藤野枝 「転機」
...秋風落莫(らくばく)たるところへ明るい光をささせる効果を狙って...
高見順 「如何なる星の下に」
...落莫(らくばく)蕭条(しょうじょう)の秋となったものが感ぜられました...
田中英光 「オリンポスの果実」
...何となく落莫(らくばく)として...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...四方(あたり)が落莫として何んとなく淺ましさを感じさせました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いつも落莫(らくばく)として食物らしい匂(にお)いをかいだ事がない...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...その立場は実に荒涼落莫たるもので...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...秋風落莫九州落ちの今日...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...酒場は忽ち落莫たる秋の野原と化してしまつた...
牧野信一 「酒盗人」
...宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎(も)えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...文士くづれの落語家として出演してゐた時代の落莫たる己の姿をあはれ憫然なりしものよと云つた風な感情を以ておもひ泛べないわけには行かない...
正岡容 「滝野川貧寒」
...〔明治二八・七・二三『國民之友』二五七號〕落莫たる文藝倶樂部に於て...
八面樓(宮崎湖処子) 「泉鏡花作『外科室』」
...みるみるうち落莫(らくばく)たる気落ちの色が全軍を蔽(おお)った...
吉川英治 「上杉謙信」
...蜀陣の戦力はさらに落莫(らくばく)たらざるを得ない...
吉川英治 「三国志」
...孤塁落莫(こるいらくばく)の一城にたて籠って――どう勝目があろうか...
吉川英治 「新書太閤記」
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