...必ず落莫(らくばく)たる空虚の感じに圧倒されるのが常であった...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...それはここまでのみちすがらにさんざん私を悩ました、あの人気のない、落莫とした、取りつき端のないような景色よりも、更に思いがけないものだった...
伊藤野枝 「転機」
...その表現されたところを見ると落莫(らくばく)として砂を噛(か)む如きものが多い...
高浜虚子 「俳句への道」
...秋風落莫(らくばく)たるところへ明るい光をささせる効果を狙って...
高見順 「如何なる星の下に」
...荒涼とも落莫ともいわん方ない...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...四方(あたり)が落莫として何んとなく淺ましさを感じさせました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...嘉吉の心の裡には何とも云ひやうのない落莫としたものが去来するのであつた...
林芙美子 「朝夕」
...矢折れ刀つきた落莫(らくばく)たる気持ちだけれども...
林芙美子 「生活」
...禪宗の山陰道に落莫なるは...
原勝郎 「鎌倉時代の布教と當時の交通」
...秋風落莫(しゅうふうらくばく)と端坐している...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...秋風落莫たる面持で眼を閉じている一人の人物があった...
久生十蘭 「魔都」
...宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎(も)えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...転(うたた)落莫の感に堪へないものがある...
吉井勇 「青春回顧」
...まつたく取りえのない落莫たる土地であつたであらうと今も思つてゐる...
吉江喬松 「山岳美觀」
...落莫(らくばく)と沮喪(そそう)してしまった...
吉川英治 「三国志」
...落莫(らくばく)たるものではないか...
吉川英治 「新書太閤記」
...落莫(らくばく)としてふるわない傾向があるのに...
吉川英治 「親鸞」
...何んともいえぬ落莫たる気持であった...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
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