...必ず落莫(らくばく)たる空虚の感じに圧倒されるのが常であった...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...僕は中陰を過ごした今でも滝田君のことを思い出す度にまだこの落莫を感じている...
芥川龍之介 「滝田哲太郎氏」
...こんな落莫(らくばく)とした疲れとは...
高見順 「如何なる星の下に」
...若太夫がいなくなってしまうと身辺大に落莫寂寥(らくばくせきりょう)で...
高村光太郎 「ヒウザン会とパンの会」
...荒涼とも落莫ともいわん方ない...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...深い落莫の心地だった...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...何となく落莫(らくばく)として...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...嘉吉の心の裡には何とも云ひやうのない落莫としたものが去来するのであつた...
林芙美子 「朝夕」
...地図の上は落莫とした秋であった...
林芙美子 「新版 放浪記」
...彼の多年江湖に落莫し...
原勝郎 「足利時代を論ず」
...秋風落莫九州落ちの今日...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...落莫(らくばく)たる世間……いや...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...酒場は忽ち落莫たる秋の野原と化してしまつた...
牧野信一 「酒盗人」
...宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎(も)えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...落莫たる真昼へと戻りめざめることができよう...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...みるみるうち落莫(らくばく)たる気落ちの色が全軍を蔽(おお)った...
吉川英治 「上杉謙信」
...落莫(らくばく)と沮喪(そそう)してしまった...
吉川英治 「三国志」
...若き友忠利を失った沢庵の落莫(らくばく)は...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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