...お定は唯もう膝の上に載せた萠黄の風呂敷包を...
石川啄木 「天鵞絨」
...萠えそめたる麥生かなたに一帶白くたなびけるは...
大町桂月 「水戸觀梅」
...最も若い植物のようにやわらかく新鮮に萠えだして新たな一年の生活をこころみようと準備しているのが見られる...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...人間界に人文の萠芽を...
高木敏雄 「比較神話学」
...庵はこのまゝ萠えだした草にまかさうそして私は出て行く...
種田山頭火 「其中日記」
...蕨(わらび)も萠え...
田山録弥 「春」
...斯くして春に花と葉と萠えづる如く百千の衆軍並びたち留る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...一斉に萠え出でようとしている...
豊島与志雄 「過渡人」
...おかしな不安が彼女の心に萠した...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...萠え立つような新緑に樹々が包まれ初めていた...
豊島与志雄 「同胞」
...衷心非常な苦悩を有して居れば居る程太十の態度が可笑しいので罪のない悪い料簡がどうかすると人々の心に萠すのであった...
長塚節 「太十と其犬」
...わすれ草は青く萠ゆ...
長塚節 「十日間」
...萠黄(もえぎ)の紐を結んだ跡まで殘つて居る...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...萠(も)え始めた若草の上に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...古代にあつて既にツキヂデスのうちにその萠芽が見られ...
三木清 「歴史哲學」
...このまま此処にいるならばせっかく萠え出ようとしている若い命の芽はおしつぶされ...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...〔無題〕うす紫と、淡紅色(ときいろ)と、白と、萠黄と、海老色と、夢の境で見るやうなはかない色がゆらゆらとわたしの前で入りまじる...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...むさし野の雪間も見えつ故郷(ふるさと)の妹(いも)が垣根の草も萠(も)ゆらん二月三日付の手紙とこの歌が...
吉川英治 「日本名婦伝」
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