...そして自分が信吾と並んで話し乍ら歩く……何となき不安が胸に萠(きざ)してゐた...
石川啄木 「鳥影」
...お菊さんは萠黄色の茎に眼をふさいで歩き出した...
田中貢太郎 「雨夜詞」
...雀よ雀よ御主人のおかへりだ(緑平老に)香春をまともに別れていそぐ別れてきた荷物の重いこと別れてきて橋を渡るのである靄がふかい別れであつたひとりとなつてトンネルをぬけるなつかしい頭が禿げてゐた(緑平老に)・塵いつぱいの塵をこぼしつゝゆく石をきざみ草萠ゆる若葉清水に柄杓そへてある・住みなれて筧あふれる・あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ□・衣がへ...
種田山頭火 「行乞記」
...草が萠えだした、虫も這ひだした、私も歩きださう...
種田山頭火 「其中日記」
...庵はこのまゝ萠えだした草にまかさうそして私は出て行く...
種田山頭火 「其中日記」
...無論根本はさういふ処から起つて来てゐるのではあるけれど――以前の文芸のあまりにロマンチツクに流れたところから萠芽を発してゐるのではあるけれど...
田山録弥 「小説新論」
...一斉に萠え出でようとしている...
豊島与志雄 「過渡人」
...私の心に或る恐怖の念が萠しかけた...
豊島与志雄 「楠の話」
...技術的にはまだまだ萠芽期を出でない...
豊田喜一郎 「プレスの操作に手工業を加味」
...褪(さ)めた萠黄(もえぎ)の法被(はつぴ)を着(き)た供(とも)一人(ひとり)連(つ)れて挾箱(はさみばこ)を擔(かつ)がせて歩(ある)いて來(き)た...
長塚節 「土」
...蒲團を包む萠黄(もえぎ)の大風呂敷を冠(かぶ)ると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...萠黄(もえぎ)の紐を結んだ跡まで殘つて居る...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...萠野ゆきむらさき野ゆく行人(かうじん)に霰降るなりきさらぎの春これも言葉の音楽で別に意味はない...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その萠芽に於ては既に或る種の動物種屬に屬してゐるけれども...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...一の時代の終るところには既に他の時代の萠結が含まれてゐる...
三木清 「歴史哲學」
...岩蔭に萠(も)え出る若草か...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...萠(も)え出た草の芽と若葉の香が...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...萠黄縅(もえぎおどし)の鎧(よろい)をつけ...
吉川英治 「日本名婦伝」
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