...さうした溪間に萠え上つてくる春草の匂ひさへ感じられる樣な...
今井邦子 「雪解水」
...葦牙(あしかび)五のごと萠(も)え騰(あが)る物に因りて成りませる神の名は...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...青葉が房やかに萠えてゐるなかで...
薄田泣菫 「独楽園」
...・生きてゐるもののあはれがぬかるみのなか・いつも馬がつないである柳萠えはじめた・猫柳どうにかかうにか暮らせるけれどぬくい雨でうつてもついても歩かない牛の仔で・焼芋やいて暮らせて春めいた・監獄の塀たか/″\と春の雨ふる・病院の午後は紅梅の花さかり・ずんぶりと湯のあつくてあふれる(湯田温泉)・早春...
種田山頭火 「其中日記」
...青草の萠えそめた土堤の向うには白帆が半分ほど見えて荒れた畑のところ/″\には芝居の作り花のやうに菜の花も咲くでせう...
近松秋江 「初雪」
...おかしな不安が彼女の心に萠した...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...触れてならないものに触れたような恐しさが後で萠した...
豊島与志雄 「少年の死」
...一たび野心という病いの黴菌(ばいきん)が胸中に萠(きざ)したのちは...
新渡戸稲造 「自警録」
...きわめて幼少の折から自然的に各分業的の萠(きざし)あるものである...
新渡戸稲造 「自警録」
......
野口雨情 「おさんだいしよさま」
...ひどく新しいが――」平次は萠黄染料の匂ひを嗅ぎ乍らそんな事を言ふのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「その紐はこれかい」平次は八五郎の拾つた萠黄(もえぎ)の紐を見せました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紐はくすんだ萠黄色(もえぎいろ)で幅五分くらゐ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...萠黄(もえぎ)の紐の紐に通して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...例の留萠(るもえ)築港の大難工事が始まった...
久生十蘭 「金狼」
...孜々として勢力扶植の道を講じ今や漸次再びその萠芽を発せんとするもの少からざるを覚ゆ...
日野強 「新疆所感」
...米沢後詰(うしろまき)萠黄唐草(もえぎからくさ)釣でも垂れているよりほか今のところは為す事もないのである...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...知識の萠しと共に亡びるものだ...
渡辺温 「絵姿」
便利!手書き漢字入力検索