...それをめぐつて草萌える・よい湯からよい月へ出た・はや芽ぶく樹で啼いてゐる・笠へぽつとり椿だつたはなれて水音の薊いちりん・石をまつり緋桃白桃・みんな芽ぶいた空へあゆむ四月五日花曇り...
種田山頭火 「行乞記」
...青い草の萌える、満ちた川水の流れる、霞の被衣(ひい)のやうにほのかに靡く春に――...
田山録弥 「不思議な鳥」
...芝の芽の萌えるころはふるさとの丘を思ひだすゆるやかにふわふわと雲の浮かんだあの丘山を犬ころが走り凧があがりぼくらは寝そべつてゐたつけが「どこへ行かうかな」「大きくなつたら」「海へ――空へ――遠いところへ――」誰やかれやみんな叫びあつた――芝の芽の萌えるころはふるさとの丘を思ひだすゆるやかにふわふわと雲の浮んだあの丘山をああ誰もかれもみんな大きくなつただらうな...
土田耕平 「芝の芽」
...雨のなかに伏せつてゐた兵士らの群よ青空へ五月へ今 走りゆく兵士らの背に野は萌える...
仲村渠 「伏兵」
...芝生の上で若草の芽が萌えるやうに...
萩原朔太郎 「宿命」
...地から萌えるぬくもりに擽(くす)ぐられた...
本庄陸男 「石狩川」
...若葉の萌える春のころだった...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...ひとり萌えるにもやり場のないものは...
吉川英治 「新・水滸伝」
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