...例の菫(すみれ)色の手巾(ハンケチ)が...
泉鏡花 「婦系図」
...……が菫には根が有って...
泉鏡花 「婦系図」
...青い三色菫(パンジイ)を散らした更紗(さらさ)の安服に赤い沓(くつ)をはいて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...空の菫がかった日光と白金色(はくきんしょく)の月は次第にうすれて行った...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...「八重だつ雲に世をへだて過しゝ月日いかなりし横雲わかるしのゝめにきくは雲雀の春の歌霞む川邊の夕暮に訪ふは菫の花の床...
土井晩翠 「天地有情」
...千筋(ちすじ)にぎらついて深き菫(すみれ)を一面に浴せる肩を通り越して...
夏目漱石 「虞美人草」
...ふるいふるい記憶のかげでどこかの波止場で逢つたやうだが菫の病鬱の匂ひがする外光のきらきらする硝子窓からああ遠く消えてしまつた 虹のやうに...
萩原朔太郎 「青猫」
...その泣菫氏の自選詩集には...
萩原朔太郎 「永遠の詩人」
...三色菫(パンセ)が頭をふりはじめると...
久生十蘭 「だいこん」
...菫(すみれ)・鈴蘭・チュウリップと...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...しかしこれを菫菫菜と菫の字を二つ層(かさ)ねて用いた時にはここに始めてそれがスミレとなる...
牧野富太郎 「植物記」
...菫はすなわち芹と通じ菫菜とも書き繖形科植物の一種の名で...
牧野富太郎 「植物記」
...せめてはレールの傍(かたわら)に菫(すみれ)が咲いて居るとか...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...明色(めいしよく)の髪に菫の花の花飾をした踊子クサンチスは...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...薔薇(ばら)や菫(すみれ)は...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...春の草では菫(すみれ)がただ一種だけになって...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...彼は色の変った菫(すみれ)を根ごと抜いていっては墓のまわりに植えた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...彼は美しいものには何ものにも直ちに心を開く自由な旅行者として、たとえば異郷の舗道、停車場の物売り場、肉饅頭、焙鶏、星影、蜜柑(みかん)、車中の外国人、楡(にれ)の疎林、平遠蒼茫たる地面、遠山、その陰の淡菫色、日を受けた面の淡薔薇色、というふうに、自分に与えられたあらゆる物象に対して偏執なく愛を投げ掛ける...
和辻哲郎 「享楽人」
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