...葉ばかりの菖蒲(あやめ)がざっと鳴ると...
泉鏡花 「縁結び」
...風はそよとも吹かず、日熱からず、四方のけしきのどかに見わたさるるに時じくに鶯鳴くも二荒のおくなる里は常春にして舟、菖蒲が浜に着く...
伊藤左千夫 「滝見の旅」
...山にちかき処に須川(すかは)村(川によりて名づく)菖蒲(しやうぶ)村といふあり...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...山里や軒の菖蒲(しょうぶ)に雲ゆきゝ五月十日 草樹会...
高浜虚子 「五百五十句」
...流しには菖蒲(しょうぶ)...
田山花袋 「田舎教師」
...または堀切(ほりきり)の菖蒲(しょうぶ)...
徳田秋声 「縮図」
...反物(たんもの)の片端(かたはし)を口に啣(くわ)へて畳み居るものもあれば花瓶(かへい)に菖蒲(しょうぶ)をいけ小鳥に水を浴びするあり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...十二橋ほんに潮来(いたこ)へおいでなら佐原来栖(いけす)にお茶屋がござらう姉さめしませうのう姉さ花のかむろが後朝(きぬぎぬ)の雨は涙で降るぞへのう一夜(ひとよ)かりねの手枕に旅の妻(おかた)と唄はれて明日は恥(はづか)し のう姉さ皐月(さつき)照れ照れ菖蒲(あやめ)も植ゑよお女郎(じよろ)見ましよか十六島は雨の降るのに花が咲く...
野口雨情 「別後」
...六日の菖蒲(あやめ)だ」その御目見の日が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...菖蒲(しょうぶ)や...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...凹みに生えた菖蒲に似た草だのは...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...小さな池(それが菖蒲池か)のあった丘のうえの林の中を無理に抜けて...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...着つつなれし菖蒲重とはいかが...
正岡子規 「病牀六尺」
...きれいな濃紫の菖蒲の花を飾ります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...サヨは電話室のよこの中庭に露のおりている石菖の鉢を見ていると...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...もし蓬(よもぎ)と菖蒲(しょうぶ)の二種の草を煎(せん)じてそれで行水(ぎょうずい)を使ったらどうすると...
柳田国男 「山の人生」
...菖蒲の寮の離亭(はなれ)へ覚明を訪れてきた...
吉川英治 「剣難女難」
...花菖蒲(はなあやめ)一夜が明けると――つかえていた芥(ごみ)が堰(せき)を切ったように...
吉川英治 「旗岡巡査」
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