...(俺は一体何の為に此の密林の中をとぼとぼ歩いているのだろう?)荒涼たる疑念が何の連関もなく彼の胸を衝(つ)き上げて来た...
梅崎春生 「日の果て」
...満目ただ荒涼たる一面の焼け野原で...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...花陵島の荒涼たる風景は...
海野十三 「地球を狙う者」
...辺りの荒涼たるかんじは膚に迫るばかりだった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...昭和一五・三荒涼たる帰宅あんなに帰りたがつてゐる自分の内へ智恵子は死んでかへつて来た...
高村光太郎 「智恵子抄」
...その荒涼たる人影もない山の端(は)に...
橘外男 「仁王門」
...信濃路(しなのじ)は冬の訪れるのが早いのでもう荒涼たる色が野山に満ちて...
長谷川時雨 「九条武子」
...荒涼たる孤独の島...
久生十蘭 「地底獣国」
...荒涼たる風景だった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...心持に落付きがなくなり皿の白さの持つ荒涼たる光景が現出する...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...ことにその日記中のブルタアニュの荒涼たる自然を敍したあたりはモオリスが風景詩人として一流であつたことを示してゐる...
堀辰雄 「モオリス・ド・ゲランと姉ユウジェニイ」
...南方の荒涼たる砂漠からは火炎を吐きかけ...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...いやが上にも荒涼たる邸の中の...
正岡容 「我が圓朝研究」
...そしてなんの道具もない荒涼たるひと間である...
山本周五郎 「日本婦道記」
...シベリヤの荒涼たる中を流れて行った当時の自分の一人旅の寂しさを...
横光利一 「旅愁」
...荒涼たる炉のまわりは...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...その荒涼たる憂鬱な性格を和らげるものといえば...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
...その梢ばかりが僅かに表はれてゐる荒涼たる原野の樣な中で...
若山牧水 「樹木とその葉」
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