...(俺は一体何の為に此の密林の中をとぼとぼ歩いているのだろう?)荒涼たる疑念が何の連関もなく彼の胸を衝(つ)き上げて来た...
梅崎春生 「日の果て」
...満目ただ荒涼たる一面の焼け野原で...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...辺りの荒涼たるかんじは膚に迫るばかりだった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...見渡す限り廢墟と言つていいくらゐの荒涼たる大廣場である...
太宰治 「お伽草紙」
...あの荒涼たる阿弗利加(アフリカ)熱帯無人の境で...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...時雄は父親の苦痛と芳子の涙とその身の荒涼たる生活とを思った...
田山花袋 「蒲団」
...今の荒涼たる胸をも救ってくれる事が出来るだろう...
田山花袋 「蒲団」
...焼野が原の跡が転(うた)た荒涼たる時...
中里介山 「大菩薩峠」
...荒涼たる焼野原を透して...
中里介山 「大菩薩峠」
...やっぱり荒涼たる荒野原で...
中里介山 「大菩薩峠」
...薄野原の無人境よりはいっそう荒涼たるものに見える...
中里介山 「大菩薩峠」
...この寺院の荒涼たる広間で...
中里介山 「大菩薩峠」
...荒涼たる吹雪の原野の中に立って見渡すと...
中谷宇吉郎 「凍上の話」
...況して荒涼たる景色であった...
葉山嘉樹 「坑夫の子」
...石ころだらけの荒涼たる山地の奥にある...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...南方の荒涼たる砂漠からは火炎を吐きかけ...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...昔に変わった荒涼たる生活とはいいながらも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...この荒涼たる遠賀川の流域を眼ざして集まって来て...
夢野久作 「骸骨の黒穂」
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