...同じ旅籠屋(はたごや)の二階の手摺(てすり)から少し荒れたような庭を何の気なしにじっと見入っていると...
有島武郎 「或る女」
...ヲンナの目は荒れたけれどもヲンナの目は恐ろしい氷山に包まれてゐて波濤を起すことは不可能である...
李箱 「興行物天使」
...御祓橋を渡れば、隨神門あり、やゝ荒れたり...
大町桂月 「冬の榛名山」
...ただ今の世に大方古く尊き神社どもはいみじくも衰へて荒れたるを見なれて...
太宰治 「もの思う葦」
...その翌日は夕方から暴風雨になって一頻(ひとしき)り荒れたが十時過ぎになってぱったり止(や)んだ...
田中貢太郎 「牡蠣船」
...翌晩は烈しい風が吹き荒れた...
田中貢太郎 「美女を盗む鬼神」
...「そんな事に使ふやうな荒れた筆は持つてゐませんから...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...日に燒けた顏、土に塗れた着物、荒れた唇、蓬ろなす髪、長く生えた鬚、さういふものが到るところにあつた...
田山花袋 「歸國」
...おそろしく海の荒れた日で...
土田耕平 「さがしもの」
...ひどく荒れた部屋ですが北側から光線が入ります...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...荒れたい放題に荒れたところで...
中里介山 「大菩薩峠」
...フン! あんなものなんか荒れたってかまいはしない...
林芙美子 「新版 放浪記」
...豪雨をまじえた北風は北九州の空を吹き荒れた...
火野葦平 「花と龍」
...人目なく荒れたる宿は橘の花こそ軒のつまとなりけれとだけ言うのであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
......
室生犀星 「星より來れる者」
...荒れた庭とも云(い)ふばかりしつとり青い露がおく...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...永(なが)の留守中荒(あ)れ放題(はうだい)に荒れた我寺(わがてら)の状(さま)は気にも掛けず格別修繕しようともせぬ...
與謝野寛 「蓬生」
...古廟(こびょう)の荒れた門前で...
吉川英治 「三国志」
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