...草深い田舎で田の草を取って老朽ちる器でなかったから...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...彼等はとうとう二里余りも堤防の草深い闇をふんで越の渡し場まで来た...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...草深い田舎の百姓家でも同様であって...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...これは草深いところに置くよりも...
中里介山 「大菩薩峠」
...暑い!幼獣の歌黒い夜草深い野にあつて...
中原中也 「在りし日の歌」
...雑司ヶ谷(ぞうしがや)の草深い墓地の中に...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...草深い山里の破寺(やれでら)でなにも知らさずに朽ちさせてしまうという約束で...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...草深い療養所で送つたその月日は余りにも彼自身には深刻な...
北條民雄 「月日」
...何処へ出るにも馬の背を借りずには街の灯も見ることも許されぬ人煙稀なる草深いところに...
牧野信一 「夜見の巻」
...草深い不案内な降り道を考へると...
三好達治 「測量船」
...永いほど草深い夜の匂ひに充ちてゐる洋灯(らんぷ)が部屋のまんなかに点火(とも)れてゐるのに田舎の母親でもたづねて来はせぬか...
室生犀星 「忘春詩集」
...草深い日本の暑い秋ぐちに肌白粉をふいてゐたパヴロアは膝の上にとまつた青い一匹の蝗に驚いたそれを窓口へすてたあとでどこか場末の興行でそれを見たことのあるのを思ひ出したそれは露西亜だつたか亜米利加だつたか倫敦だつたかそれとも避暑地の食堂で踊つたときだつたか思ひ出せなかつた...
室生犀星 「忘春詩集」
...折れ曲り/\して草深い中を行く...
吉江喬松 「山岳美觀」
...彼のあとについてすぐ草深い裏庭へ廻ってゆきました...
吉川英治 「江戸三国志」
...御方はまたやすやすと新九郎をこの愛宕の草深い隠れ家へ連れ込んでいる...
吉川英治 「剣難女難」
...かく草深い里の童(わらべ)が...
吉川英治 「三国志」
...どう眺めても草深い田舎から出た野侍(のざむらい)としか見えないのである...
吉川英治 「新書太閤記」
...草深い谷間川(たにあいがわ)に沿って歩くと...
吉川英治 「宮本武蔵」
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