...――もう茹(ゆだ)った時分でござろう...
芥川龍之介 「鼻」
...是に八十神見て、また欺きて、山に率て入りて、大樹を切り伏せ、矢を茹め、其木に打立て、其中に入らしめて、即ち其比目矢(ヒメヤ)を打離ちて、拷(ウ)ち殺しき...
高木敏雄 「比較神話学」
...今は七月も過ぎて八月の五日……茹(うだ)るような暑さです...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...食事をしているというのかね? きみはまるで……」フェルフィーチキンは茹(う)で蟹のように真っ赤になり...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...いけねえ」米友は茹(ゆ)でたようになって...
中里介山 「大菩薩峠」
...菜(な)が洗(あら)ひ畢(をは)つた時(とき)枯葉(かれは)の多(おほ)いやうなのは皆(みな)釜(かま)で茹(ゆ)でゝ後(うしろ)の林(はやし)の楢(なら)の幹(みき)へ繩(なは)を渡(わた)して干菜(ほしな)に掛(か)けた...
長塚節 「土」
...手(て)も足(あし)も茹(ゆ)でたやうに赤(あか)くなつて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...彼(かれ)は又(また)おつぎへ注意(ちうい)をして能(よ)くは茹(う)でさせなかつた...
長塚節 「土」
...茹(う)でた大豆とを彼に連想せしめた...
夏目漱石 「道草」
...菜を茹るにも居まわりで用の足りる便利さといったらなかった...
久生十蘭 「虹の橋」
...モンパの葉はアクが強いので三四回よく茹で...
久生十蘭 「ノア」
...茹卵を二つ割にしたような...
久生十蘭 「魔都」
...湯に初の如く茹れば鼻糸小さく萎みて...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...いつもたくみに指先を働して、茹でた繭を開き、中の蛹を取り棄てゝ板の四隅に張りかけるのを見てゐると、自分もやつて見たくてたまらなくなるのだけれど、今日はたゞ默つてそれを瞶めてゐるのであつた...
水野仙子 「白い雌鷄の行方」
...之を茹でるのに十二月といふ新春の呪ひ木を焚き...
柳田國男 「食料名彙」
...妻(かない)が塩で茹(ゆ)で...
夢野久作 「近世快人伝」
...笊(ざる)に盛り上った茹卵(ゆでたまご)...
横光利一 「上海」
...此辺(このあたり)の狭い町角では薩摩藷(いも)や梨を茹(う)でて湯気(ゆげ)の立つのを売つて居た...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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