...寂しい茶の間の暮方を思ひ出さずにゐられなかつた...
芥川龍之介 「秋」
...茶の間にゐる母に違ひなかつた...
芥川龍之介 「庭」
...茶の間からでてきた母親にむかいあった...
海野十三 「四次元漂流」
...夫は必ず茶の間へ下りて用箪笥(ようだんす)の抽出(ひきだし)から私の日記帳を取り出して盗み読みすることは間違いない...
谷崎潤一郎 「鍵」
...ものの五六行も進んだ時分に茶の間の方から足音が聞えて...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...茶の間程の面積に一杯に畳が敷き詰めてあるので...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...彼の二人の女の子がやはり茶の間のラジオの前にすわり込んで...
寺田寅彦 「野球時代」
...手塚さんが茶の間で話しこんでるだけだった...
豊島与志雄 「小さき花にも」
...女中の知らせに老夫婦は八畳の茶の間へ来て...
永井荷風 「春雨の夜」
...お嬢さんは縁側を直角に曲って、私の室(へや)の前に立つ事もありますし、茶の間を抜けて、次の室の襖(ふすま)の影から姿を見せる事もありました...
夏目漱石 「こころ」
...奥さんはその茶の間にいる事もあるし...
夏目漱石 「こころ」
...茶の間(ま)の方へ引き返(かへ)した...
夏目漱石 「それから」
...茶の間では、清が突伏したまま鼾(いびき)をかいていた...
夏目漱石 「門」
...三人の子供がどたばた茶の間へ乱入して来た...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...茶の間の評判の事並に妙な密会の事赤坂福吉町の一条邸の前から新町へ折れ曲る横丁の中ほど...
久生十蘭 「魔都」
...茶の間に誰もゐないし呼んでも出て來なかつた...
室生犀星 「京洛日記」
...茶の間をのぞいて...
吉川英治 「松のや露八」
...「誰だい、今のは」露八が訊くと、茶の間に立って、厚帯の間から、小菊紙(こぎく)だの、鏡だの、櫛(くし)たとうだのを、ぽんぽんと出してはそこらへ抛り散らしながら、「わたしの情人(いいひと)さ」四「ふーむ……」露八は、自分の顔の置場に困って、お蔦の捨てた小菊紙(こぎく)や鏡をひろい集めていた...
吉川英治 「松のや露八」
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