...人家まばらに草茫々と目に遮(さえぎ)るものもないその頃の鳥越からは海が見えたかも知れぬが...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...東は太平洋茫々として際なく...
大町桂月 「金華山」
...名も知れぬ雑草が茫々と生えていた...
豊島与志雄 「どぶろく幻想」
...茫々として無人の原であった時分に...
中里介山 「大菩薩峠」
...いつの間にか茫々とした秋の景色だった...
林芙美子 「新版 放浪記」
...」二人共又おしだまって向うの向うの寒い茫々とした海を見た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...夜は茫々として苦脳する夢魔の姿だつた...
原民喜 「鎮魂歌」
...褐色の平原がゆるく波をうちながら茫々とひろがっている...
久生十蘭 「新西遊記」
...茫々とした池の面が...
久生十蘭 「西林図」
...茫々と吉田の大人(うし)に過去の見えそれよりも濃く我に現る寛先生歿後...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...茫々と広い明るい空のような処へ放されて飛んで行くようで...
二葉亭四迷 「平凡」
......
前田普羅 「普羅句集」
...その『巣鴨総攬』の口絵写真を一見すると嘗て私の住んでゐた辺りなどつひ近年まで草茫々としてゐたらしい...
正岡容 「巣鴨菊」
...草が茫々と生えた庭でしてね...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...茫々としたいら草の間にその小さい円い口は光りを放ち...
宮本百合子 「金色の口」
...八月十七日この茫々としたロシアが軍備を拡張したときの恐ろしさ――しかし...
横光利一 「欧洲紀行」
...茫々として展(ひら)けていた...
横光利一 「上海」
...どの顔も、眼は落ち窪(くぼ)み、髪は茫々として、血や泥や汗のうえに、さらに、濃(こ)い憂色に塗りつぶされていた...
吉川英治 「剣の四君子」
便利!手書き漢字入力検索