...茫々と果しなく煙っていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...茫々と果しのない薄(すすき)ヶ原のなかの...
徳田秋聲 「霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ」
...此の浮島の東北の隅の葭(よし)蘆(あし)茫々と茂った真中に...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...四顧茫々として、遠眼鏡を以てすら陸地がいずれにあるかさえわからなかったその中で、茂太郎が仙台領を走る七兵衛の姿を認め得られるはずはないのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...碧りと凝るを見よ未了の縁に纏はれば生死に渡る誓だに塚も動けと泣くを聽け』…………………塚も動けと泣く聲に塚も動きて秋の風夜すがら吹いて曉の茫々として明にけり宵見し夢の迹見れば草茫々と明にけり――明治三十七年頃――...
夏目漱石 「鬼哭寺の一夜」
...見当もつかない茫々とした遠い道筋の事を考へたのですが...
林芙美子 「シベリヤの三等列車」
...茫々とした霞(かすみ)の中に私は神様の手を見た...
林芙美子 「新版 放浪記」
...この人は茫々としたむさくるしい姿で...
林芙美子 「新版 放浪記」
...倪雲林(げいうんりん)の「西林図(せいりんづ)」にある湖でも見ているような茫々とした感じを起こさせる...
久生十蘭 「西林図」
...山内は茫々と空を見て生きていたが...
久生十蘭 「ノア」
...茫々と広い明るい空のような処へ放されて飛んで行くようで...
二葉亭四迷 「平凡」
...草が茫々と生えた庭でしてね...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...茫々としたいら草の間にその小さい円い口は光りを放ち...
宮本百合子 「金色の口」
...こんなに茫々とした風景はも早や風景とは云い難い...
横光利一 「欧洲紀行」
...霧は茫々と際限なく続いた雪原と同じだ...
横光利一 「欧洲紀行」
...畷や畔の何もない茫々とした田園には...
横光利一 「欧洲紀行」
...八月十七日この茫々としたロシアが軍備を拡張したときの恐ろしさ――しかし...
横光利一 「欧洲紀行」
...茫々と追われて西の方へ逃げ去った...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索