...ただ茫然と老人を瞻(みまも)っていた...
モオパッサン 秋田滋訳 「親ごころ」
...とうに蒼茫(そうぼう)たる暮色が立ち罩(こ)めて...
芥川龍之介 「尾生の信」
...或時(あるとき)はデレリ茫然(ばうぜん)としてお芋(いも)の煮(に)えたも御存(ごぞん)じなきお目出(めで)たき者は当世(たうせう)の文学者(ぶんがくしや)を置(お)いて誰(た)ぞや...
三文字屋金平 「為文学者経」
...茫然(ぼんやり)と突っ立っている私の耳にも...
橘外男 「蒲団」
...暫しは茫然(ぼんやり)として椅子に腰を下してゐたが...
田山録弥 「時子」
...哀れな人間の科学はただ茫然(ぼうぜん)として口をあいてこれをながめるほかはない...
寺田寅彦 「映画時代」
...海洋の永遠な広茫だけが全面に立現われてくる……...
豊島与志雄 「書かれざる作品」
...彼の茫漠たる風貌がよく見られた...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...代助は湯呑を持(も)つた儘(まゝ)、茫然として、三千代の前(まへ)に立(た)つた...
夏目漱石 「それから」
...黒い服を着た男が茫乎して居る私に姓名と住所を訊き糺した上...
西尾正 「陳情書」
...あの沼沢地のほとりで茫然としていたか...
西尾正 「墓場」
...この人は茫々としたむさくるしい姿で...
林芙美子 「新版 放浪記」
...私はいきなり目を揉まれたやうな茫とした氣で...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...そう言ってこの言葉をきいて茫然としているキンナを見据えながら...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...よほど茫漠(ぼうばく)として把捉しがたいものになってしまうのである...
柳田國男 「垣内の話」
...茫として何物も手につきませんでした...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...胆(きも)をひしがれて茫然としていると...
吉川英治 「江戸三国志」
...茫然(ぼうぜん)と見送っていた...
吉川英治 「親鸞」
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