...全く心の働きの一切を失つて、唯、恍として、茫として、蕩として、目前の光景に我を忘れて居た自分が、此時僅かに胸の底の底で、あるかなきかの聲で囁やくを得たのは、唯次の一語であつた...
石川啄木 「葬列」
...血刀ひっさげたまま茫然としてあえいでいた左近将監のすがたは...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...コゼットとともに暮らす! この悲惨のただ中に突然現実の楽園が開ける! 彼女は自分に話しかけてるその人を茫然自失したかのように見守った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...」とマリユスは最後の望みもなくなったのに茫然(ぼうぜん)として言った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...徃事茫々都て夢のごとし...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...雪の場合のように目標が茫漠(ぼうばく)としていて...
中谷宇吉郎 「実験室の記憶」
...渡したあとでは却つて茫然として自失した...
夏目漱石 「それから」
...彼はよく茫然と終末の日の予感におののいた...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...向岸の茫とした緑の塊りは...
原民喜 「遥かな旅」
...ひとり溌剌たる国民のあいだにのみ――この眇茫坦々として世界の半ばにまでまたがり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...茫然として立ち竦んでしまう...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...唯だ薄茫然(うすぼんやり)として...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...茫然と立っているのを...
山本周五郎 「山彦乙女」
...……なぞと……そんな事を考えつつ茫然として...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ただ茫然と山々を眺めるばかりである...
横光利一 「欧洲紀行」
...茫然としてしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
...また無表情に茫然としている者と...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...胡坐(あぐら)と胡坐を対(むか)い合せ、顔と顔をつき合せ、二人は茫然と、相見てしまった...
吉川英治 「平の将門」
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