...唯僕の「聰明」を以つて猶此等の缺點を脱却しきつてゐないのは「苦々しい」と思つてくれただけであつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...彼に與へられる外來の刺戟が殆んど彼を外に向はせるもののみなことを苦々しいと思つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...『一体此処に子供を連れて来るつて法はありませんよ』あばたの爺さんがさも苦々しい事だと云ふやうな顔をして云つた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...兵馬は、苦々しい思いで、彼等の為すままに任せている...
中里介山 「大菩薩峠」
...こんな苦々しい醜態を...
中里介山 「大菩薩峠」
...そんな剣呑(けんのん)な思いまでして借りる必要もあるまいからね」健三は苦々しいうちにも滑稽(こっけい)を感じた...
夏目漱石 「道草」
...苦々しいとは思いながらも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...追つ付け戻りませう」用人の村川菊内は少し苦々しいのを我慢して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...とうとう嗅(か)ぎ出したのかい」三輪の万七は苦々しいながらも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暗く苦々しいものであつた...
萩原朔太郎 「非論理的性格の悲哀」
...どうもいっこうに苦々しいはなしなんでして……といった調子なんである...
服部之総 「撥陵遠征隊」
...甘く見すぎたという苦々しい後悔の色が浮かんでいた...
久生十蘭 「地底獣国」
...訪問を教えなかった母の仕打ちが苦々しい...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...あまりに苦々しい態度だと譏(そし)る女たちもあった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...苦々しい事を云(い)ったりした...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...そして家臣の者へ苦々しい語気で...
吉川英治 「剣難女難」
...苦々しいものとしか見えませぬ」こういう直言を憚(はばか)らない小野忠明は...
吉川英治 「剣の四君子」
...勝家は苦々しい容子である...
吉川英治 「新書太閤記」
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