...葡萄畑では若い緑葉の間に芳烈な力と味とを孕んだ花が隠れて居る...
石川三四郎 「百姓日記」
...芳烈な春の香を魚の腹のやうに冷えきつた葉つぱのひとつびとつに沁み徹らせてゐる...
薄田泣菫 「独楽園」
...」譲の肉体は芳烈にして暖かな呼吸のつまるやうな厭迫を感じて動くことが出来なかつた...
田中貢太郎 「蟇の血」
...その一時間はたとえば芳烈な酒のように...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...飲んでみると名状の出来ぬ芳烈な香気が鼻と咽喉(のど)を通じて全身に漲(みなぎ)るのであった...
寺田寅彦 「重兵衛さんの一家」
...芳烈(ほうれつ)な其香...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...芳烈な、或は絢爛な、線と色とが其頃の人々の肌に躍つた...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...それはあまりに芳烈な清酒の香りであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...僕は芳烈な一樽の清酒を貰っても...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...ただそれだけの芳烈な幸福を詩歌の「最後のもの」として決定する...
萩原朔太郎 「青猫」
...すがすがしい秋の果実店からあんなに芳烈な匂いがしてくる...
林芙美子 「新版 放浪記」
...芳烈な油の匂いがする...
林芙美子 「新版 放浪記」
...すがすがしい秋の果実店からあんなに芳烈な匂いがする...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...プロ文化の末路しかしこうした江戸草創時代の元気横溢した平民の気象――逃げ水を追(おい)つつまきつつ家を建てた時代の芳烈な彼等の意気組は...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...芳烈な緑色の香気が私の顔を打った...
夢野久作 「けむりを吐かぬ煙突」
...芳烈純真なる生命の火となって永劫に燃えさかえる...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...そうして噎(む)せかえるほど芳烈な...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...放牧其夜は山中の旅行に餓ゑてゐた美味、川魚のフライ、刺身、鯉こく、新鮮な野菜、美しい林檎、芳烈な酒、殆んど盡くる所を知らず四人して貪つた...
吉江喬松 「山岳美觀」
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