...花やかな娘の笑声が...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...一尺に二尺くらいの小窓小窓でわかい女の顔が花やかに笑っているのであって...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...そして見物人たちのガヤガヤ云うのが、一向邪魔にならないのみか、いろいろの音、いろいろの色彩が、万華鏡(まんげきょう)を見るように、花やかに、眼もあやに入り乱れながら、渾然(こんぜん)とした調和を保っているのである...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...みんなこっちへ来なくって?」などゝ云う松雪院の花やかな声が...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...その持ち前の花やかな声を張り上げて笑った...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...」――そないいいながら私の膝(ひざ)の上い打つ伏しなさって、涙でそこがびしょびしょに濡(ぬ)れるぐらい激しいに泣きなさるのんで、あんまりのことに何ちゅうて慰めたげたらええのんやら、――なんせ私の知ってる今日までの光子さんいうたら、花やかで、勝ち気で、いつもプライドに充(み)ちた眼エ耀(かが)やかしてなさって、そんな辛(つら)い思いしてなさったとはちょっとも見えしませんのに、その高慢な、女王みたいにエラそにしてなさった人が、プライドも何にも放ってしもて泣き崩れてなさる様子だけでも、ほんまに思いの外ですねん...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...また花やかなカフェーやデパートのことだとも考えられるらしい...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...二人の結婚の奥に横たわる花やかなロマンスの存在を仮定していた...
夏目漱石 「こころ」
...痩せて蒼(あを)い姉娘の方は母親の煙水晶(ケヤアンゴーム)の眼を受け、花やかな、みづ/\しい妹娘は顎と頤(おとがひ)の輪廓を受けてゐた――多分幾分かは柔(やは)らか味はついてゐるが、それでもまだ顏付に何とも云はれぬ苛酷(かこく)なところが表はれてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...斯く花やかに目眩しい都に出たあかつきは...
牧野信一 「川蒸気は昔のまゝ」
...」と花やかに独りで点頭いてゐた...
牧野信一 「南風譜」
...果しなく花やかな巻雲であるのみだ...
牧野信一 「変装綺譚」
...既にして文壇的に花やかなる活動を示した作家は...
牧野信一 「浪曼的時評」
...一段と花やかなもののあるよう感じられた...
正岡容 「小説 圓朝」
...万事万端あまりにも花やかに花やかにと心がけ過ぎた結果...
正岡容 「小説 圓朝」
...若く花やかな年頃には...
柳田国男 「木綿以前の事」
...あたかも花やかな花火の後(あと)の闇のように...
柳田国男 「木綿以前の事」
...花やかな三隻の官船である...
吉川英治 「新・水滸伝」
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