...――はてもない旅の汗くさいこと・このいたゞきに来て萩の花ざかり山の水はあふれ/\て・旅のすゝきのいつ穂にでたか・投げ出した足へ蜻蛉とまらうとするありがたや熱い湯のあふるゝにまかせ此地は県政上は宮崎に属してゐるが...
種田山頭火 「行乞記」
...あつい湯にはいる・水のうまさは芽ぐむものにもあたへて・食べるだけ食べてひとりの箸をおく花ざかり豆腐屋で豆腐がおいしい・どこかで頭のなかで鴉がなく(夢幻)此宿はよい...
種田山頭火 「行乞記」
...・けさはけさのほうれんさうのおしたし・茶の木も庵らしくする花ざかり・すくうてはのむ秋もをはりの水のいろ・冬山をのぼれば遠火事のけむり・あたゝかくあつまつてとんぼの幸福(とんぼの宿)・赤さは日向の藪柑子・とんぼにとんぼがひなたぼつこちろ/\おちてゆく冬めいた山の水・ふめば露がせなかに陽があたる□・お地蔵さまのお手のお花が小春日□・めつきりお寒うなりました蕪を下さつた霜の落葉にいもりを汲みあげた夜...
種田山頭火 「其中日記」
...雑草の花ざかり(まだ早いが)...
種田山頭火 「其中日記」
...・春もどろどろの蓮を掘るとや・春がゆくヱンジンが空腹へひびく・くもりおもたい蛇の死骸をまたぐ・食べるもの食べつくし雑草花ざかり・春はうつろな胃袋を持ちあるく・蕗をつみ蕗をたべ今日がすんだ・菜の花よかくれんぼしたこともあつたよ・闇が空腹・死ぬよりほかない山がかすんでゐる・これだけ残してをくお粥の泡・米櫃をさかさまにして油虫・それでも腹いつぱいの麦飯が畑うつ・みんな嘘にして春は逃げてしまつたどしやぶり...
種田山頭火 「其中日記」
...山頭火も歩いたらどうです!庵の周囲は曼珠沙華の花ざかり...
種田山頭火 「其中日記」
...まさに萩の花ざかり...
種田山頭火 「其中日記」
...・逢うて菜の花わかれて菜の花ざかりいちめんの菜の花の花ざかりをゆくさくらちりかゝる旅とたつたよ・旅もいつしかおたまじやくしが泳いでゐる途上未定稿(作品そのものは――)未完成稿(芸術家その人は)旅やけ!ルンペンの色!四月十八日晴...
種田山頭火 「旅日記」
...……途上所見・若葉つ(マヽ)ゝまれて今日は入営式山のよさを水のうまさをからだいつぱい何やら花ざかりなり河鹿鳴くなり山うぐひすしきりに啼けば河鹿も鳴いて・山をふかめて河鹿しきりに・水のあかるくながれてくれば河鹿なくしばし谷間で...
種田山頭火 「旅日記」
...あの時の男女は惜しい花ざかりでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...杏子(あんず)や梨の花ざかりで...
野上豊一郎 「吹雪のユンクフラウ」
......
野口雨情 「未刊童謡」
...八重一重さく九重の花ざかり』といふ長閑な東山の景が顕はれ...
野口米次郎 「能楽論」
...親分!涅槃花ざかりなる菩提樹の下密林の影のふかいところでかのひとの思惟(おもひ)にうかぶ理性の...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...撩乱たる桜の花ざかり...
火野葦平 「花と龍」
...あちこちに立っている梨の木も花ざかりといった春さきなどは...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...蕎麦の花ざかりのなかを...
堀辰雄 「炉辺」
...三月さくらの花ざかり花にうかれてうれしいかちよんちよん雀はちよんと飛ぶ...
水谷まさる 「歌時計」
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