...ひどく敏感に卑屈な反映を見せたりして云うに云われぬいやァな空気がだんだん色濃く風のように湧き起っていった...
大阪圭吉 「三狂人」
...その民衆思想は色濃く倫理的色調を帯びていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...色濃く染めた紐のついている小刀を作つて...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...ポローニヤス、わかりますか? あなたから、城中の残念な噂、と言われて、オフィリヤの事か? とちらと考えてもみたのですが、僕には、その事よりも、もっと色濃く、もう一つの噂のほうが問題だったので、ついそのほうに話を持って行きましたが、決して故意に、そらとぼけたわけではないのです...
太宰治 「新ハムレット」
...あの服装の失敗だけが色濃く胸中に残つてゐるくらゐのもので...
太宰治 「津軽」
...この短篇集、「晩年」は、年々歳々、いよいよ色濃く、きみの眼に、きみの胸に滲透して行くにちがいないということを...
太宰治 「もの思う葦」
...童姿の供はそこにぼんやりとその輪郭を薄暮の空氣の中に色濃く見せてゐるけれども...
田山花袋 「道綱の母」
...頭髪はまだ色濃くて硬いが...
豊島与志雄 「在学理由」
...日本の花はいかほど色濃く鮮なるも何となく古めきていひがたき渋味あり...
永井荷風 「一夕」
...取残された柿の実を一層(ひとしお)色濃く照している...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...色濃く天井にうつつてゐる...
林芙美子 「暗い花」
...次の事実によっていっそう色濃くなった...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...日一日と例の心の澱というやつが大きく色濃く拡がっていってしまうばかりだった...
正岡容 「小説 圓朝」
...色濃くなっていった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...僕の憂鬱はだんだん色濃くなつて來た...
横光利一 「書翰」
...パリの街街には左翼の波の色彩もだんだん色濃く揺れ始めて来た...
横光利一 「旅愁」
...まだ相当に色濃く矢代には映っていた...
横光利一 「旅愁」
...はやくも車中不安の色濃く「危険はない?」「何時間」「何キロ」などと質疑応答しきりである...
吉川英治 「随筆 新平家」
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