...一生にいちどの晴の日に、――峠の向ふ側から、反対側の船津か、吉田のまちへ嫁入りするのであらうが、その途中、この峠の頂上で一休みして、富士を眺めるといふことは、はたで見てゐても、くすぐつたい程、ロマンチックで、そのうちに花嫁は、そつと茶店から出て、茶店のまへの崖のふちに立ち、ゆつくり富士を眺めた...
太宰治 「富嶽百景」
...甲府からバスに乗って御坂峠(みさかとうげ)を越え、河口湖の岸を通り、船津を過ぎると、下吉田町という細長い山陰(やまかげ)の町に着く...
太宰治 「律子と貞子」
...船津まで、ね、一緒に行こうよ...
太宰治 「律子と貞子」
...船津でおわかれする時にも...
太宰治 「律子と貞子」
...「は、船津まで、買い物に...
太宰治 「律子と貞子」
...船津...
太宰治 「律子と貞子」
...船津(ふなづ)から越中へ出る街道がある...
中里介山 「大菩薩峠」
...平湯から船津(ふなつ)へ越さざあならねえから...
中里介山 「大菩薩峠」
...船津まで十五圓といふ賃金表が出てゐる...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...船津まで乘つて、都合に依つたら今日の内に西湖(にしのうみ)か精進(しやうじ)までのさうといふ説も出たが、草鞋の手前もあるので(青楓君だけは靴)とにかく吉田から先は歩いて見ようといふことになつた...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...今日は船津に一泊するより外はあるまいといふことであつた...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...船津までは吉田から約一里ださうである...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...舟の中の話は船津の宿屋の惡口が大部分であつた...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...それは西湖へ出ないで船津から鳴澤を通つて行く時のことで...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...同書阿武郡椿郷東分村松本船津組字無田ヶ原の条に「小畑へ行く道なり...
柳田國男 「地名の研究」
...船津(ふなつ)の阪本の弘法井は...
柳田國男 「日本の伝説」
...その間に船津橋をくぐってすぐに左の三角洲(す)...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...時雨降る野口の簗の小屋に籠り落ち来る鮎を待てばさびしきたそがれの小暗き闇に時雨降り簗にしらじら落つる鮎おほし簗の簀の古りてあやふしわがあたり鮎しらじらととび跳りつつかき撓み白う光りて流れ落つる浪より飛びて跳ぬる鮎これおほきなる鯉落ちたりとおらび寄る時雨降るなかの簗の篝火翌朝は三人に別れて雨の中を船津町へ向った...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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