...舳の所が高くなり...
石川欣一 「比島投降記」
...舳から、暗い海面をじっと睨(にら)んでいた船員の一人が、とつぜん大ごえをあげた...
海野十三 「幽霊船の秘密」
...近づいては、押しもどされ、近づいては、押しもどされている内に、ボートの舳が、流れる気嚢にぶつかったかと思うと、賊の方から、ヒラリと、ボートに飛込んで行った...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...舳(へさき)に立っている五十近い男が今呼びかけたのは私ではなくて...
寺田寅彦 「写生紀行」
...櫓は舳先や艫(とも)に三...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...舳を川の方へ押し出しかけて...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...佐渡が島は汽船の舳に當つて幾らか大きくなつたかと思ふ頃秋の日は落ちて黄昏の冷かさが身にしみて感じた...
長塚節 「佐渡が島」
...船頭は胡坐をかいた儘時々舵へ手を掛けるだけで船は舳がぢやぶ/″\と水に逆つてのぼつて行く...
長塚節 「寫生斷片」
...直助は何の事もなく舳(へさき)の方をすかして見ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八月の青いブルタアニュの波を舳(へさき)で蹴りながら...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...金五郎は舳(へさき)に腰かけて...
火野葦平 「花と龍」
...舳先で休んでいたい...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...舳艫相銜至乙部...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...能登の舳倉島の海女がフキと謂つて居るのは薩摩薯の蔓のことで...
柳田國男 「食料名彙」
...「機械船の舳先なんてものは」とかれらは一様に云うのであった...
山本周五郎 「青べか物語」
...舟尾(とも)へ来れば舳の方へ...
吉川英治 「江戸三国志」
...舳艫(じくろ)をつらねて溯江(そこう)して来た...
吉川英治 「三国志」
...今度は松の木の代りに鴉のとまり場は其處に置き竝べてある漁舟の舳(へさき)となり艫(とも)となつた...
若山牧水 「鴉と正覺坊」
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