...九年母(くねんぼ)の実と核(たね)とを舌の先にさぐるやうに...
芥川龍之介 「世之助の話」
...彼の舌の先から唾液(つば)を容赦なく我輩の顔面(かお)に吹きかけて話し立てる時などは滔々滾々(とうとうこんこん)として惜い時間を遠慮なく人に潰させて毫(ごう)も気の毒だと思わぬ位の善人かつ雄弁家である...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...舌の先が、外見はなんの変りも無いのに、うごかすと痛くてならぬとおっしゃって、お食事も、うすいおかゆだけで、お医者さまに見ていただいたら? と言っても、首を振って、「笑われます」と苦笑いしながら、おっしゃる...
太宰治 「斜陽」
...そして、緑色の舌の先で、下唇を舐(な)めた...
谷譲次 「踊る地平線」
...あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...あのザラザラした舌の先で...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...小藤次野郎の舌の先で...
直木三十五 「南国太平記」
...多年の食道楽(くいどうらく)のために病的過敏となった舌の先で...
永井荷風 「妾宅」
...ただ舌の先に触れたときだけ甘くて人を喜ばせます...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...すぐと重苦しく舌の先に溜(たま)るしつ濃(こ)い乳の味を予想して...
夏目漱石 「思い出す事など」
...何だか舌の先を針でさされたようにぴりりとした...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...舌の先でしばらくまわしていると...
新美南吉 「嘘」
...ベルナアルさんが凍えるとベルナアルさんの舌の先に掴まっている悪魔は勢い舌と一緒に凍えて手も足も出ないようになってしまうわけだった...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...老人はそれをちよつと舌の先につけて下に置き...
北條民雄 「間木老人」
...長い舌の先を唇の端できつく噛み悲壮気に視線を天井に向けたかとおもふと...
牧野信一 「沼辺より」
...或ひは舌の先とか...
室生犀星 「渚」
...舌の先からであってはならない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...舌の先でくるめておいて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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