...何事にも既に御興趣を失ひなされたやうな...
太宰治 「右大臣実朝」
...ある程度までは正しく理解すると同時に無限の興趣と示唆とを受けるであろうと思われる...
寺田寅彦 「科学と文学」
...かえってその間に新しい一種の興趣らしいものを感じさせられるのであろう...
寺田寅彦 「カメラをさげて」
...いずれも一応の興趣をもって読み終えることができたが...
十返肇 「日本推理小説の曲り角」
...過去の呟(つぶや)きであるが故に愁(うれい)あるものこれを聞けばかえって無限の興趣と感慨とを催す事あたかも商女不レ知亡国恨...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...特種の情調なき都會の興趣に乏しきは恰も品性なき人物と面接するに同じである...
永井荷風 「十年振」
...興趣忽(たちまち)索然として踵を回して去ったことがあった...
永井荷風 「百花園」
...夜になつて此方は真暗な路地裏から表通の灯火を見るが如きは云はずとも又別様の興趣がある...
永井荷風 「路地」
...橋本が筆と墨を抱(かか)えて出て来たので興趣(きょうしゅ)は破れてしまった...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...興趣は更に湧然として尽きぬのである...
藤島武二 「画室の言葉」
...会話は次第に磁力を失い、興趣はやつれ、彼の旅行記は精彩を欠いていった...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...たいへん興趣深く語られてゐる...
堀辰雄 「「文藝林泉」讀後」
...何んな意味でゝも一向の感銘も興趣もひゞいて来ないのは何ういふわけかと寧ろ自分を疑はずには居られなかつた...
牧野信一 「月評」
...蓋し最近の名描写たるの興趣が深かつた...
牧野信一 「浪曼的時評」
...わがこゝろわれを思う友の心にむくいんと今こそ受けしふみのしるしをその刹那の惑何の奇も何の興趣も消え失せて平凡化せるわれの学問おなじ年寄りの冷水の例また一つ世界に殖えし太平の御代とつおいつとつおいつ受けし祝辞と弔辞の方へ何と答えてよいのやら苦しい思い今日の今まで通した意地も捨てにゃならない血の涙たとえ学問のためとはいえ...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...それらの興趣も煎じつめれば...
三好達治 「万葉集の恋歌に就て」
...宸翰本等におけるそれよりもはるかに興趣に富むことを指摘せられたが...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...暖かき円満なる家庭を有するものは人生に幾分の同情を有し悲哀の興趣を味わい自己を自覚せる人である...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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