...併し身邊の事情はこの誤解を正してゐる餘裕を自分に與へて呉れなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...哲學も宗教も今の自分に何の慰藉をも與へ得ないのは...
伊藤左千夫 「奈々子」
...然し數週間入院するだけの分は與へてあるのだから...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...みんなそれに生氣を與へてゐる靈と一緒に拔け出してしまつたのだ...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...御自分等(ごじぶんら)も與(あづ)かつて...
塚原蓼洲 「兵馬倥偬の人」
...目録學にも歴史的根據を與へて...
内藤湖南 「支那目録學」
...更にアダムス賞を授與せられた土星の輪の安定性に關する議論は...
長岡半太郎 「原子核探求の思い出」
...笊(ざる)で運(はこ)んだ饂飩(うどん)が多人數(たにんずう)の彼等(かれら)に到底(たうてい)十分(ぶん)の滿足(まんぞく)を與(あた)へ得(う)るものではない...
長塚節 「土」
...毫も神の作つてくれた幸福な人間であるといふ刺戟と安慰を與へ得ないからである...
夏目漱石 「「土」に就て」
...與力、笹野新三郎の役宅へ飛込んで見ると、女はまだ町奉行所には送らず、庭先に筵(むしろ)を敷いて、裸蝋燭(はだからふそく)の下で、身體を拭かれて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...脹(ふく)れ返つた三輪の萬七、萎(しを)れきつて居る大工の金五郎、大はしやぎのガラツ八、それにつままれたやうな喜三郎、岩吉、與八夫妻、佐の市とその母親、美しいお美乃、そして長屋の外に住む雪之助が物好きに此一團に飛び込んで、進行係のやうな役目を勤めて居たのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...日頃平次に眼を掛けて居る筆頭與力笹野新三郎が乘出してお玉の化の皮を剥ぎ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ひとつの與へられた状況について...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...それから後に織部と云つた宮崎助太夫重昌(しげまさ)の三人を呼んで細かい訓令を與へた...
森鴎外 「栗山大膳」
...丁度此相談が濟んだ所へ、前の與力が出て、入口に控へて氣色を伺つた...
森鴎外 「最後の一句」
...この二册はいかにもすぐれた登山文藝として爽高の感じを與へるものである...
吉江喬松 「山岳美觀」
...そんな侮辱を與へようとは想像もしてゐなかつた‥‥『あなたは...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...のみこんで書いてゐる與太は...
吉川英治 「折々の記」
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