...日が傾いてくると、きゆつと一杯ひつかけたくなつて、もうたまらないので、わざ/\T店まで出かけて、焼酎一杯、息なしに飲む、だいたい焼酎を私は好かない、好かないけれど酒の一杯では酒屋の前を通つた位にしかこたえない、だから詮方なしに焼酎といふことになる、酒は味へるけれど、焼酎は味へない、たゞ酔を買ふのである、その焼酎がいかに私の身心を害ふかは明々白々だ、だから、焼酎を呷ることは、まあ自殺――慢性的な――今の流行語めかしていへば slow suicide だ! それはむしろ私に相応してゐるではあるまいか!△転ぜられるところが転ずるところ、そこは物心一如、自他不二だ...
種田山頭火 「其中日記」
...悠々たる観の世界は否定の否定の立場として自他不二の境に我々を誘い込むのである...
和辻哲郎 「『青丘雑記』を読む」
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