...余は到つて臆病なりしかばかかる時は常に両人中余の尤も懼(おそ)るる方に附き随(したが)ひて媚(こび)を献じてその機嫌を取れり...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...彼女が臆病なせいだろうか...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...臆病な彼をおどかしてやろうと...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...勇敢な心臟を臆病な腦髓の用に立てようとしたところで...
ピョートル・アレクセーヴィチ・クロポトキン Pyotr Alkseevich Kropotkin 大杉栄訳 「革命の研究」
...かくのごとく我儘であるくせにまた甚だしく臆病な彼は...
寺田寅彦 「年賀状」
...職場に影響を及ぼすかの如き臆病な誤解を抱き...
戸坂潤 「〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)」
...臆病な私は一人で外に出ることはなかった...
外村繁 「澪標」
...あの兇鳥(まがどり)が……あいつはおれの臆病な敵の間諜(かんちょう)だ……」彼にはまたしてもこの電流のようにすばやい閃(ひらめ)きが憫(あわ)れにも感じられて来た...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...一種病的な臆病な気もちを感じた...
豊島与志雄 「作家的思想」
...臆病な女だと云ふことが知れた...
レオ・トルストイ Lev Nikolaevich Tolstoi 森林太郎訳 「パアテル・セルギウス」
...何んという臆病な――)と...
直木三十五 「南国太平記」
...あまりにも臆病な人間の歴史だった...
久生十蘭 「蝶の絵」
...「臆病な癖に、大それた、ケチな真似はしない方が好いよ...
牧野信一 「好日の記」
...暗い田舎道に臆病なせゐか成人の私でさへ慄然とするが如き不気味な調子だつた...
牧野信一 「創作生活にて」
...他人の異様な顔貌を怖れるやうな美しい臆病な身分の人達が...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...その中に包まれた風鈴の如く臆病な小胆と共に...
牧野信一 「剥製」
...けれど私は臆病な空想勝ちな燻ぶり返った一人のセルロイド職工に過ぎない...
松永延造 「職工と微笑」
...あまり臆病なので...
横光利一 「書翰」
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