...私は今度躯(からだ)に腫物(できもの)が出来たので...
岩村透 「死体室」
...腫物のあととも何とも知れぬ黒ずんだ切れ込みのようなものが顔のあちこちにあって...
海野十三 「断層顔」
...皆の唇は紫色に腫れあがり...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...翌日、手の腫れは、昨日よりも、また一そうひどくなっていた...
太宰治 「斜陽」
...前の盆のように濶(ひろ)かった腫物とは思われなかった...
田中貢太郎 「嬌娜」
...みっともない皺くちゃの泣き腫らした顔が見え...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「女房ども」
...瘢痕蟹足腫を形成し...
永井隆 「長崎の鐘」
...“痔”は、口、足、睾丸、臍、肛門、に腫脹があり、血液喪失が多く、脱水状態、食欲不振、仙痛、熱、が起きたら、致死的と考えられた...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...特に浮腫せる胸部を剛力の背に圧迫せし故...
野中到 「寒中滞岳記」
...腫れた自分の腹部が...
林芙美子 「あひびき」
...顔がくちゃくちゃに腫れ上って...
原民喜 「「屍の街」」
...板の間の筵の上にごろごろしてゐる重傷者のなかに黒く腫れ上つた少女の顔がある...
原民喜 「火の唇」
...まるで腫物(はれもの)にでもさわるように...
平林初之輔 「予審調書」
...九年前の毎春引き続き逆上して頭腫(は)れ...
南方熊楠 「十二支考」
...君の話によると巧(たくみ)にさえ遣(や)れば跡(あと)は直(じ)きに癒(なお)るようだがその疵口が膿(う)んだり腫(は)れたりして病気になる事はないかね」主人「それは大丈夫さ...
村井弦斎 「食道楽」
...赤く腫(は)れ上って引(ひっ)つった顔のまま...
夢野久作 「白髪小僧」
...腫(は)れ物にでも触(さわ)るような無口がつづく...
吉川英治 「剣の四君子」
...泣き腫れた瞼(まぶた)の紅さが可憐で叔父として何か言ってやりたい気に駆られてならなかったからである...
吉川英治 「私本太平記」
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