...そして彼らいよいよ来り見ればあまりに陰惨(いんさん)なる有様よ! あまりに大なる変化よ! 町の外に逐(お)われて乞食の如く坐し悪腫全身を犯すその惨状よ! 疑うヨブあるいは隠れたる大罪を犯してこの禍(わざわい)を受けしにあらざるか...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...皆の両唇が腫(むく)み上つて碌(ろく)に物も言へなくなつたやうな事さへあつた...
薄田泣菫 「茶話」
...彼(かれ)の頸(くび)には小(ちい)さい腫物(はれもの)が出来(でき)ているので...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...みぎのかほが、は(腫)れ、なにやらかやら、たのしまず...
太宰治 「盲人独笑」
...痛風から扁桃腺(へんとうせん)が腫(は)れたという話だ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...帰宅してみると猫が片頬に饅頭大な腫物をこしらえてすこぶる滑稽な顔をして出迎えた...
寺田寅彦 「札幌まで」
...彼は眼の前に臭(くさ)い膿(うみ)のだら/\流れ出る大きな腫物を見た...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...但し數日來面部に浮腫(むくみ)あり...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...腫(は)れてるだろう...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...何か腫物(はれもの)にさわるような扱いです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...首筋は紫色に腫(は)れ上がつて居りますが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...眼も泣き腫し、全体に取り乱して、彼女は落つきを失つてゐた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...眼千両と言われた眼は眼蓋(まぶた)が腫(は)れて赤くなり...
広津柳浪 「今戸心中」
...顔や手足の腫起(むく)んだような若い女で...
二葉亭四迷 「平凡」
...よくある水腫病のやうな死ではなく...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から」
...さうして浮腫(むくみ)のあるやうな青ぶくれた赤兒の死骸をその肌に抱いた...
水野仙子 「嘘をつく日」
...紅く腫(は)れている眼をそっと上げて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...腫(はれ)ぼったい瞼(まぶた)を上げて...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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