...お前はこの醜い女たらしの夢から脱却する日の一日も早く來らむことを祈る心持にもならなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...彼は一つの弱點を脱却するために...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...「己れ」の狹苦しさを脱却することは決して空想に止らないであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...彼は近來になつて少しくこの見方から脱却することが出來たやうな氣がしてゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...さうして未だこの時期を脱却する力のない自分を苦々しいと思つてゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...盗賊跋扈(ばっこ)というが如き悪俗から脱却することが出来れば...
大隈重信 「日支親善策如何」
...また彼らは女学生上がりが奥様風を好んで町人風を装うのを厭がる如く書生上がりの職人も昔の書生風を脱却するに逡巡躊躇するものの如く見える...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...私はこうした悩ましい懐疑から脱却するために...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「自責」
...津田君といえども伝習の羈絆(きはん)を脱却するのは困難である...
寺田寅彦 「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」
...それにも拘らずモナドは遂に個別化原理からの制約を脱却することが出来ない...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...故に精神能力の側から出発すれば主客の対立を脱却することは出来ない****...
戸坂潤 「科学方法論」
...性格的なる吾々――人々――への意味関係から脱却する処にそれの所謂客観性を有ち...
戸坂潤 「科学方法論」
...擬人化から脱却するということが...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...それからもっと込(こ)み入(い)った懸合(かけあい)――これらから脱却する事は...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...したがって文芸の中(うち)でも道徳の意味を帯びた倫理的の臭味(くさみ)を脱却する事のできない文芸上の述作についてのお話と云ってもよし...
夏目漱石 「文芸と道徳」
...エンジンの改良なしに脱却するための方法はないか? 実は問題は一八五一年に次のような形で提起されたのである――政府補助金なしに英濠間の汽船航路をいかにして実現せしむべきか?この年濠洲のヴィクトリアで金鉱が発見された...
服部之総 「黒船前後」
...旧物を脱却すること能わざる者なり...
福沢諭吉 「学者安心論」
...それを弥々(いよいよ)脱却する機会に近づいているらしく見える...
二葉亭四迷 「私は懐疑派だ」
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