...我口に入りしは少許(すこしばかり)なるに、その酒は火の如く(ほのほ)の如く、脈々をめぐりぬ...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...兎(と)に角(かく)生命の脈々たる歌であるのだ...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...その文化伝統が名もなき仏師のうちにすら脈々と生きているのだ...
高見順 「仏像とパゴダ」
...忘れられなくつて困るツて申しますね』『本当ですよ』今でもその子のことが脈々と思ひ出されて来るらしく...
田山録弥 「ある日」
...淋しい思いが脈々として胸に上(のぼ)った...
田山花袋 「田舎教師」
...脈々とした哀愁が私の胸を打った...
田山花袋 「『田舎教師』について」
...義理人情の電流が脈々と流れている...
寺田寅彦 「年賀状」
...脈々として一筋の綱のようにつながっている...
中井正一 「知識と政治との遊離」
...この裂帛の気合が脈々と流れているように私には感ぜられることが多い...
中谷宇吉郎 「民族的記憶の名残」
...四人の血管の中に脈々たる熱いものがたぎりたち...
久生十蘭 「キャラコさん」
...いつの間にか脈々たる黄道(こうどう)の虹(にじ)が横たわっていた...
牧逸馬 「ヤトラカン・サミ博士の椅子」
...遠く西北方の空を指差すとゑん/\たる丹沢山の面影が白々しい空の裾に脈々と脊をうねらせてゐる有様が望まれる...
牧野信一 「三田に来て」
...その一頃の波脈々としてサワ立てるは...
宮崎湖処子 「空屋」
...やはりそういう厳しいやさしさを脈々と感じました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...この自分の身體の中に脈々と動いてゐる血液といふものをジツと考へると不思議な氣がするのである...
吉川英治 「折々の記」
...育つものを脈々とつたへてくる美術にふれたい...
吉川英治 「折々の記」
...それを感じると、脈々、自分の五体は、ものに疼(うず)いて、居ても立ってもいられなくなります」「好々(よしよし)」司馬徽は、呵々(かか)と笑って、「それさえ覚っておいであれば、あとは余事のみ――やれ、長居いたした」「先生、もう暫時、お説き下さい...
吉川英治 「三国志」
...当年の面影が脈々と汲みとれる所に尽きないおもしろさがある...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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