...何段となく古ぼけた背皮を並べて...
芥川龍之介 「路上」
...その背皮に金文字...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...洋書の背皮文字が金色や銀色に輝いてる二つの大きな書棚の前に擴げた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ところが、Tの失望したことには、彼女はそこに算盤が出ていることを少しも怪しまないで、さっさとそれを脇へのけると、背皮に金文字で、「原価計算簿」と記した大きな帳簿を取出して、机の上に拡げるのでした...
江戸川乱歩 「算盤が恋を語る話」
...金文字背皮の書冊が何万という程書架に陳(なら)べてあるのが一寸癪にさわったらしい...
辰野隆 「愛書癖」
...花嫁映画みるばかり「ワリビキ」へ貧しさ負ふて列ぶ顔クビになる恋と知りつゝする若さ殴られる鞭を軍馬は背負はされ妾飼ふほど賽銭がありあまり闇に咲く人妻米のないあしたバイブルの背皮にされる羊の死泥棒と知れ花魁の恋やぶれ喰ふだけのくらしに遠いダイヤの値税金のあがったゞけを酒の水註・「ワリビキ」は東京市電(のち都電)の早朝割引運賃...
鶴彬 「鶴彬全川柳」
...なんだかこの隠れた小哲学者の書棚に背皮を並べた書物ででもあるような気がした...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...買ったばかりの書物の背皮を無惨に食いむしられたりするようになると少し腹が立って来た...
寺田寅彦 「ねずみと猫」
...歐米の各地で其の時々に買集め其の時々の感慨を托した書籍が美しい背皮と金文字とを竝べ輝(かゞやか)してゐる本棚や又床の間や壁に掛けた風景畫...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...背皮(せがわ)を竪(たて)に...
夏目漱石 「虞美人草」
...洋書というものは唐本(とうほん)や和書よりも装飾的な背皮(せがわ)に学問と芸術の派出(はで)やかさを偲(しの)ばせるのが常であるのに...
夏目漱石 「ケーベル先生」
...沢山の書物が美しい背皮(せがわ)を並べて...
夏目漱石 「こころ」
...長謙さんは本の背皮のことしかわからない頓馬だから...
久生十蘭 「だいこん」
...書棚にある書物の背皮を見た...
ハンス・ランド Hans Land 森鴎外訳 「冬の王」
...書籍の背皮に光る金文字が気を焦つ閑枝の目にチラチラとうるさく映った...
山本禾太郎 「仙人掌の花」
...西日が一パイに這入(はい)るような店だと背皮(クロス)がミンナ離れちゃいますからね...
夢野久作 「悪魔祈祷書」
...豪華な背皮の本を見せたりしてくれた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...はては背皮(せがわ)まで突ついて見ておる...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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