...傍(かたわら)なる苫屋の背戸に...
泉鏡花 「悪獣篇」
...山氣は翠に滴つて、詣づるものゝ袖は墨染のやうだのに、向つた背戸庭は、一杯の日あたりの、ほか/\とした裏縁の障子の開いた壁際は、留守居かと思ふ質素な老僧が、小机に對ひ、つぐなんで、うつしものか、かきものをしてござつた...
泉鏡花 「遺稿」
...向った背戸庭(せどにわ)は...
泉鏡花 「遺稿」
...路(みち)近い農家の背戸に牡丹の緋に咲いて蕋(しべ)の香に黄色い雲の色を湛(たた)えたのに...
泉鏡花 「遺稿」
...糸七の背戸のようになっている...
泉鏡花 「薄紅梅」
...つい今しがたまで背戸山の森は木枯(こがらし)に鳴っていたのである...
伊藤左千夫 「新万葉物語」
...風呂の前の方へきたら釜の火がとろとろと燃えていてようやく背戸の入り口もわかった...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...背戸(せど)の小川に放たれた金魚の如く...
太宰治 「喝采」
...背戸(せど)の田圃(たんぼ)のぬかるみに映る星...
寺田寅彦 「星」
...背戸へ締出しを喰わしておいて...
徳田秋声 「足迹」
...背戸口の井戸のところで待たされてゐた...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...蜀黍畑お背戸の 親なしはね釣瓶海山(うみやま)千里に風が吹く蜀黍(もろこし)畑も日が暮れた鶏 さがしに往かないか...
野口雨情 「十五夜お月さん」
...棉打唄丘の榎木(えのき)に蔓葛(かつら)が萠える鷽(うそ)が鳴くわい酒屋の背戸(せど)で...
野口雨情 「野口雨情民謡叢書 第一篇」
...△寒水春なれば小椿おちて山吹の黄をもつ流その流背戸を走れるいまやせたり...
萩原朔太郎 「斷調」
...」故郷の家の背戸(せど)によく生(な)る柿の木があったので...
水上滝太郎 「果樹」
...かつて埴生の小屋の背戸をおとずれた...
柳田國男 「夢と文芸」
...背戸のあたりで、なにかの動物の、鼻にかかったような、なき声がした...
山本周五郎 「竹柏記」
...ちょうど台所の裏手に当っている背戸(せど)の井戸端(ばた)まで来ると...
夢野久作 「巡査辞職」
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