...大理石を掘り出す樣を見て、番小屋に入り、酒肴を饗せらる...
大町桂月 「十和田湖」
...(神使社頭へ皈る時里正(まちしやうや)の家に立より酒肴のまうけあり)神使社内へ皈(かへ)りしを見て踊(をど)りの行列(ぎやうれつ)を繰(くり)いだす...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...まして目の前に主人のみ酒肴を供えて...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...肴(さかな)を喫(く)った...
田中貢太郎 「藤の瓔珞」
...うめえ肴(さかな)があるから一口湿してみてはどうだい」「俺(おい)らは酒は飲めねえんだ」と米友は断わりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...此が肴であるとすると其あつさりしたのに驚かれる...
長塚節 「菜の花」
...大工の兼公(かねこう)と肴屋(さかなや)の角(かく)をつれて...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...「朝河岸へ行く肴屋(さかなや)でしたよ」「それから」「青物市場へ行く人と...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「ほう、肴つきだぞ、こりやア、肉のあついするめだなア、珍らしいものだ...
林芙美子 「雪の町」
...(下)石之助とて山村の總領息子、母の違ふに父親(てゝおや)の愛も薄く、これを養子に出して家督(あと)は妹娘の中にとの相談、十年の昔より耳に挾みて面白からず、今の世に勘當のならぬこそをかしけれ、思ひのまゝに遊びて母が泣きをと父親の事は忘れて、十五の春より不了簡をはじめぬ、男振にがみありて利發らしき眼ざし、色は黒けれど好き樣子(ふう)とて四隣(あたり)の娘どもが風説(うはさ)も聞えけれど、唯亂暴一途に品川へも足は向くれど騷ぎは其座限(ぎ)り、夜中に車を飛ばして車町(くるまちやう)の破落戸(ごろ)がもとをたゝき起し、それ酒かへ肴と、紙入れの底をはたき無理を徹すが道樂なりけり、到底(とても)これに相續は石油藏へ火を入れるやうな物、身代烟(けふ)りと成りて消え殘る我等何とせん、あとの兄弟も不憫と母親、父に讒言(ざんげん)の絶間なく、さりとて此放蕩子(これ)を養子にと申受る人此世にはあるまじ、とかくは有金の何ほどを分けて、若隱居の別戸籍にと内々の相談は極まりたれど、本人うわの空に聞流して手に乘らず、分配金は一萬、隱居扶持月々おこして、遊興に關を据ゑず、父上なくならば親代りの我れ、兄上と捧げて竈の神の松一本も我が託宣を聞く心ならば、いかにもいかにも別戸の御主人に成りて、此家の爲には働かぬが勝手、それ宜しくば仰せの通りになりましよと、何うでも嫌やがらせを言ひて困らせける...
樋口一葉 「大つごもり」
...肴屋の酒乱を加へたるものなるが...
三木竹二 「明治座評」
...千畳敷二畳に上(のぼつ)て酒肴を喫...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...「ちょうどお酒がきれていましたので」とおまさは続けた、「酒屋へ注文にゆくと云いましたら、それではついでに酒の肴(さかな)もと仰しゃいました、おまえおっ母さんの好みを知っているだろうから、いいようにしておくれと仰しゃるので、あたしは酒屋と仕出し屋へいって来ました」酒が来、肴が届いて、膳立(ぜんだ)てをしていると、またおしのが来て云った...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...酒肴(しゅこう)をはこんだりした女中はいなかった...
山本周五郎 「屏風はたたまれた」
...まるで洗濯石鹸(あらいしゃぼん)を揉むようで……その水を汲み換え汲み換え泡の影が無(の)うなるまで揉みました奴の三杯酢を肴(さかな)にして一杯飲もうモノナラその美味(うま)さというものは天上界だすなあ...
夢野久作 「近世快人伝」
...酒肴(しゅこう)をもてなした...
吉川英治 「上杉謙信」
...酒肴をお目にかけよとのことに...
吉川英治 「三国志」
...酒肴の支度をさせ...
吉川英治 「平の将門」
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