...紅葉自身は常に外国小説を読んで頭を肥やしていた...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...一般の世間が平素から科学知識の水準をずっと高めてにせ物と本物とを鑑別する目を肥やしそして本物を尊重しにせ物を排斥するような風習を養うのがいちばん近道で有効ではないかと思ってみた...
寺田寅彦 「断水の日」
...あなたが死ぬ時一処に牧場(ぼくじょう)に埋めて牛馬の食う草木を肥やしてくれと遺言した老夫人の白骨は...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...自分の苦行を肥やしにして...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...未来の調和の肥やしにならなければならないんだ? 人間同士のあいだの罪悪の連帯関係は僕にもわかる...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...その泥土(でいど)でわれわれの土地を肥やしたあとに...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...どれだけ父の頭を肥やしたかしれない...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...丹精して肥やして來た土でございます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...めんめが腹ばい肥やしたかなア」「食いたかもの...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...多くは焚料(たきもの)とするか空しく白蟻を肥やして...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...取った土地で稼げば稼いだだけ自分の身上を肥やしてゆけるようになるのだとカン違いしていた...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
...自分で肥やしをするのを不都合とは思わない...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...たちまちにその腹を肥やしてしまうのに...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...私利私腹のみ肥やして...
吉川英治 「三国志」
...私腹を肥やしなすっているとか...
吉川英治 「三国志」
...長安の大都は、先年革命の兵火に、その大半を焼き払われ、当年の暴宰相董卓(とうたく)は殺され、まったく面目を一新するかと思われたが、その後には李(りかく)、郭(かくし)などという人物が立って、依然政事を私し、私慾を肥やし、悪政ばかり濫発(らんぱつ)して、すこしも自粛するところがなかったため、民衆は怨嗟(えんさ)を放って、「一人の董卓が死んだと思ったら、いつのまにか、二人の董卓が朝廷にできてしまった」と、いった...
吉川英治 「三国志」
...これはもと都の大官童貫(どうかん)の邸で家庭教師をしていた者で、根ッからの佞官(ねいかん)型であるうえに、着任いらいは、私腹を肥やし、権勢をかさに着、人民泣かせをただこれ能(のう)として省(かえりみ)るところもないのであった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...花園の塵(ちり)を一掃したら、夏の天下は、青々(せいせい)と若い者の腕にひきうけて、土も肥やし、樹々も刈り、天地の気を新たにしなければいけない)などと激励していた...
吉川英治 「源頼朝」
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