...苟も靈の糧となつて之を肥すことならば姦淫でも裏切りでも何でもやつつけてやらうと思つてゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...小作料やら、納税やら、肥料代やら、さういつた生活費に追はれてゐて、何時まで経つても水呑百姓から脱することが出来ないのです...
有島武郎 「私有農場から共産農団へ」
...膨(むつち)りと肥つた手で静かにその解職願を校長の卓から取り上げた...
石川啄木 「足跡」
...大黒さまのように肥った顔が...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...この労働者ひとりを丁度宜(よ)い加減に肥らせるには...
薄田泣菫 「茶話」
...柄(え)の短い肥後鍬を不器用な手に握ったものだ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...肥塚巴月等も皆彼れの先輩にして...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...肥え太ったまま何故腐敗しないのであろうかと...
西尾正 「墓場」
...昨夜の肥った老女が...
野村胡堂 「悪人の娘」
...少し肥つた、丸ぽちやの愛嬌者で、十九にしてはませて居りましたが、蓮葉(はすつぱ)で口上手で、誰にも世辭が良いので、町内の男達の評判は大したもので、現に八五郎なども、その崇拜者(すうはいしや)の一人だつたかも知れません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...昔は音に響いた荒牛(トオロオ)を無数に送り出した囲い場であったそうだが今は堆肥場になっているので...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...四年前に逢つた時とは少し肥つて好い血色をしてゐた...
室生犀星 「京洛日記」
...この時肥後国熊本の城主細川越中守斉護(なりもり)の四子寛五郎(のぶごろう)は...
森鴎外 「渋江抽斎」
...その塵芥に身を肥やして...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...「……お可愛らしくまるまると肥えて...
山本周五郎 「菊屋敷」
...杉乃は子を産んでから少し肥え...
山本周五郎 「竹柏記」
...「土肥君か」あまり浮かない顔だった...
吉川英治 「松のや露八」
...そのあらましを土肥実平にゆだね...
吉川英治 「源頼朝」
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