...あなたを悦(よろこ)ばせようと申した事は、母や姉は随分不承知なようですが、肝心な兄は、「お前はおとよさんと一緒になると決心しろ」と言うてくれたのです...
伊藤左千夫 「春の潮」
...此の思想を働かせる事が肝心なのだ...
大杉栄 「新しき世界の為めの新しき芸術」
...途中の道ばたあるいはちょっとしたわき道にある肝心なものを見落とす恐れがある...
寺田寅彦 「科学者とあたま」
...その上に肝心な研究費はいつでも蟻(あり)の涙くらいしか割当てられない...
寺田寅彦 「学問の自由」
...肝心な瞬間に星の通過(トランシット)を読み損なうようなことさえあった...
寺田寅彦 「喫煙四十年」
...ここでも肝心な波長決定要素の問題は依然として不可解に残されている...
寺田寅彦 「自然界の縞模様」
...肝心な箇所に誤魔化(ごまか)しのあるものであったと云われている...
寺田寅彦 「颱風雑俎」
...ではともかくもなるべくよく読み返してみてからと思っているうちに肝心な職務上の仕事が忙しくて思うように復習も出来ず...
寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
...何かしら一つ肝心なものが欠けているような気がする...
寺田寅彦 「破片」
...肝心な子息(むすこ)に相談もしずに...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ではその肝心な日本家族制度は最近どうなりつつあるか...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...これが何より肝心なのである...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...肝心な墓の主に断わりもなく――尤(もっと)も断わろうにも百万億土にゆかなければならないが――墓主が代ったことである...
長谷川時雨 「お墓のすげかえ」
...そこが肝心なのでございますわ...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「辻馬車」
...(a)彼らは肝心なところは曖昧な書きぶりをしており...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...食べてみることが肝心なのである...
山之口貘 「チャンプルー」
...ほかにもっと肝心な用むきがあるんじゃございませんか」「まことにどうも...
山本周五郎 「おれの女房」
...それがなにより肝心なことだ...
山本周五郎 「さぶ」
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