...はた目には酸鼻(さんび)だとさえ思わせるような肉欲の腐敗の末遠く...
有島武郎 「或る女」
...まことにこれは肉欲的...
内村鑑三 「後世への最大遺物」
...人がどの程度の肉欲家であるかを知るには...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...われわれは肉欲の一つの形式を恥じることなく自由に論じるが...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...そしてうとうとと昼寝(シエスタ)をむさぼっていた肉欲的な昔の人の生活を思い浮かべないわけにはゆかなかった...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...君はどうしてそんなに純潔なんだろう? だって君もやっぱりカラマゾフ一族じゃないか! 君の家では肉欲が炎症ともいうべき程度に達してるんだものね...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...肉欲の罪は最も恥ずべきものであり最も重大なものであり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...世間を、町を、肉欲を、快楽を、虚栄を、傲慢(ごうまん)を、利益を、すべて見捨てている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...恋の泉が肉欲の満足によって涸れ尽し...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...再びわたしたちの間に立ち昇った肉欲の蒸気のために...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...従って水夫たちにとっては、それは本能的な、肉欲的な、一対照より以外ではなかった...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...また、あらゆる種類、あらゆる年齢の私子(じごく)、――表面はパロス島8の大理石で内部は汚物でみたされているかのリューシアン9の彫像を思わせるような、女盛りの正真正銘の美人――ぼろを着た、胸の悪くなるような、もう全くだめな癩病やみ――若返ろうとする最後の努力をして、宝石をつけ脂粉をごてごてと塗り立てている、皺のよったの――まだ恰好も十分ついていないほんの子供のくせに、永い間の交際(つきあい)でその道の恐るべき嬌態(コケットリー)もすっかり上手になっていて、悪行では姐(ねえ)さんたちと肩を並べようという激しい野心に燃えているのなど、また、数えきれぬほどいる何とも言えない酔っ払いども、――ぼろっきれを着て、顔に打傷をつけ、どんよりした眼をして、呂律(ろれつ)の廻らぬ舌でしゃべりながら、よろめいてゆく者――よごれてはいるが破れておらぬ着物を着て、肉欲的な厚い唇、丈夫そうな※(あか)らんだ顔をして、少しふらつきながらも肩で風を切ってゆく者たち――かつて以前は上等の地であったもので、今もなお念入りに十分ブラッシをかけた着物を着ている連中――不自然なくらいしっかりした軽快な足取りで歩いているが、その顔色はすごいまでに蒼ざめ、眼は恐ろしく血走って赤く、群集の中を大股に歩きながら、手にあたるものは何でもみんな震える指で掴みかかる者ども...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「群集の人」
...肉欲的な猫そのものだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...肉欲も、一度これを斥ければそのまま衰え眠ってしまう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...肉欲を満足させ類い稀な美女を享楽することであった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それとも彼の前に連れてこられた卑しいエティオピアの大男の不自然な肉欲の餌食となるか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...余は肉欲のどん底を描いてみようと思う...
山本周五郎 「青べか日記」
...むしろ彼らは貪欲と肉欲とのゆえに...
和辻哲郎 「享楽人」
便利!手書き漢字入力検索