...なんぼう気の毒なことではないか」醜(みにく)いほど血肥(ちぶと)りな、肉感的な、そしてヒステリカルに涙脆(もろ)い渡井(わたらい)という十六になる女の生徒が、穢(きた)ない手拭を眼にあてあて聞いていたが、突然教室じゅうに聞こえわたるような啜泣(すすりな)きをやり始めた...
有島武郎 「星座」
...肉感的な長い両腕をムキ出しにした太った女で...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...ほんとの光子さんはこの神々(こうごう)しさの上にちょっと肉感的なとこあるねんけど...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...その下には稍(やや)肉感的な紅味のある唇が心持ふくらんで持上つてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...秋の山山は肉感的なるかな十時五分前太陽はさんらんと放散するのに馬車にへこんだ...
鶴彬 「村へ行く」
...肉感的な肉体だけしか頭に浮ばなかった...
豊島与志雄 「子を奪う」
...粗野な肉感的な辛辣(しんらつ)さを吹き込んだ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...感傷的な肉感的なしかも怠惰な芸術...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...じょでこいと肉感的な声で歌いながら...
中里介山 「大菩薩峠」
...妙に肉感的なしなやかさがあって何がなし...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...不思議な肉感的な媚びさえなかったら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...素晴らしく肉感的な女...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「旋律的(メロヂカル)な美」それは言葉の美しい抑揚であり、且つそれ自らが内容の鼓動である所の、最も肉感的な、限りなく艶めかしい誘惑である...
萩原朔太郎 「青猫」
...燃えるばかり肉感的な情熱で――その少年期の...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「幸福への意志」
...松井須磨子の豐滿な肉體の極めて肉感的な事を讚美した文筆の士があつた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...ともすればそれを肉感的な衝撃と思いやすいのを...
山川方夫 「昼の花火」
...その丸ボチャの極度に肉感的な身体(からだ)つきと...
夢野久作 「斜坑」
...だからインドの肉感的な画も...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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