...そのやうに雲表はるかに高く巍然燦然と聳えて居られる至尊のお方のおはしますこの日本国に生れた事の有難さに...
太宰治 「右大臣実朝」
...あの雪を纏(まと)う大高山が聳(そび)え立ち中腹には白雲が悠々と流れている...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...ところどころに聳(そび)え立つビルディングばかりが見え...
谷崎潤一郎 「細雪」
...変りのないのは狭い往来を圧して聳立(そびえた)つ長い監獄署の土手と...
永井荷風 「監獄署の裏」
...池はその後に聳(そび)ゆる崖の高さと...
永井荷風 「日和下駄」
...崖は昔も今も変りなく市中の諸処に聳(そび)えていたに相違ない...
永井荷風 「日和下駄」
...お岩稲荷は人家の間に聳える樹木と鳥居とで直にそれと知れた...
永井荷風 「来訪者」
...田甫の遙か先には菜の花の上に甍が聳えて見える...
長塚節 「菜の花」
...かつてはこの土地に亭々と聳えていた樹の姿も偲ばれて...
中谷宇吉郎 「荒野の冬」
...冬を封じて黒く彼の後(うしろ)に聳(そび)えた...
夏目漱石 「門」
...「そんな馬鹿なことが――」萬七は肩を聳(そび)やかしました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今ではガスタンクも原爆名所の一つになってしまったがあのタンクがはじめて空に聳〔え〕立った頃は...
原民喜 「広島の牧歌」
...丘の上に聳(そび)えし宏壮なる我家の今や猛火に包まれんとするを見る...
正岡子規 「わが幼時の美感」
...他の癩蝦蟆肩を聳(そび)やかし...
南方熊楠 「十二支考」
...無意識に肩を聳かした...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...その四方の空を占めて天心近く暢びやかに聳え立つてゐる山嶺を仰ぐにはこちらも身を頭をうち反らせねばならなかつた...
若山牧水 「木枯紀行」
...海と空との間に唯一つ打ち聳えたこの山の姿の靜けさは麓に立つて仰ぐのと自づからまた別である...
若山牧水 「樹木とその葉」
...三四町の幅をおいた池の向うには岩ばかりから成り立った嶮しい山が恰もその池を抱く様にして聳えていた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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