...手古奈の目と口とには聊かな笑みの漣が動いた樣である...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...哈爾賓へ行って何をした?縦令(たとい)聊かにもせよ旅費まで出して呼ぶからには必ず何かの思わくが徳永にあったに違いない...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...所謂神話伝播説は、聊か之と異る...
高木敏雄 「比較神話学」
...少生聊か擡頭して一瞬之を見...
太宰治 「右大臣実朝」
...明治四年から始めて漸く九萬町が聊か缺けて居る...
田中正造 「公益に有害の鑛業を停止せざる儀に付質問書」
...妻の品行に聊かの疑惑を懐いた時...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...酒も聊か飲みすぎて...
豊島与志雄 「或る夜の武田麟太郎」
...聊かの制限がある...
豊島与志雄 「随筆評論集「情意の干満」後記」
...空気の湿度の高い日本では聊か無理だ...
豊島与志雄 「猫先生の弁」
...彼女を毒死の罠にかけようという意向が聊かでも私にあったろうとは...
豊島与志雄 「紫の壜」
...それを私は聊かも憾みとはしない...
豊島与志雄 「理想の女」
...歌の上に聊か所見を異にし...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...八月三十日舊友知人相會して追悼の式を擧げ聊か其幽魂を弔ふ...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...其所に聊か人を魅する牽引力を失ふ恐が潛んでゐるといふ意味でも讀みづらい...
夏目漱石 「「土」に就て」
...自分は二人の子供達のために今後の自重養生を聊かくどいほどに説き頼んだ...
南部修太郎 「日曜日から日曜日まで」
...聊かあせるやうな氣持でアストオル吸入をつづけてみるのだつたが...
南部修太郎 「日曜日から日曜日まで」
...聊か朝鮮の都邑を思はせるものがある...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...千歳の松も限りあればや昔の縁乍(たちま)ち消えうせて木も枝もやけこがれさも物うげに立てるあはひに本堂のみ屹然として聊かも傷はざるは浪花堀江の御難をも逃れ給ひし御仏の力...
正岡子規 「かけはしの記」
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