...若しくは勝氣から來る臆病から解釋して了ふのは聊か僕を見損つたものであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...そこに聊かの怪訝をも感じてはゐないやうに見える...
有島武郎 「描かれた花」
...其落膽と失望とは言語に絶えて憐れなさまであつたが心には聊かの嗔恚もない...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...一書肆の災を以て歴史上の大事件に比するは倫を失したもので聊か滑稽に類するかも知れないが...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...私にとりましては聊か身分に過ぎた寄進かと存じまする...
薄田泣菫 「茶話」
...図柄の不鮮明などは聊かも問題でないばかりか...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...いかにも立派で堂々として聊か下品でも滑稽でもなく...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...聊か深刻の評たるを免かれず何となれば彼れは平生大言壮語の癖ありと雖も...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...妻の品行に聊かの疑惑を懐いた時...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...周囲に対する顧慮を聊か示すことが多くなったようで...
豊島与志雄 「或る夜の武田麟太郎」
...汽車の窓から見た聊かの風景を機縁に...
豊島与志雄 「白藤」
...聊かも取乱したところがなかった...
豊島与志雄 「父の形見」
...空気の湿度の高い日本では聊か無理だ...
豊島与志雄 「猫先生の弁」
...作者は忘れたが『神稲俊傑水滸伝』だけは聊か物足らず思いながらも読み了(おわ)った...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...江戸の粋人の生活も聊か知る事が出来た...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...丁度近頃その遊び相手の猫がちょいちょい来るのを後家の猫とは聊かも知らず...
浜尾四郎 「殺された天一坊」
...聊かこの人身の蓮花の開く聲を聞く民俗に就て説かう...
南方熊楠 「蓮の花開く音を聽く事」
...彼亦聊か安んずるところなかる可らず...
横瀬夜雨 「花守」
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