...耳をすますと、その部屋の中から、ピアノの音が聞えてくるようです...
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen 矢崎源九郎訳 「イーダちゃんのお花」
...見物達が思わずギョッとして、耳をすますと、シューシューという音は、怪物の笑い声であることが分った...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...ふと耳をすますと...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...耳をすますと、島のまわりには、うちよせている波の音とちがった、ドドドド……という、きみの悪いひびきが、どこからか、聞こえてきます...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...耳をすますようにさせることなのだ...
ジョージ・オーウェル George Orwell The Creative CAT 訳 「詩とマイクロホン」
...耳をすますと、その頃の小学唱歌、雲の歌だ...
太宰治 「惜別」
...ロパーヒン (耳をすます)ちがう...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...耳をすますとごうごう鳴りどよむ水音の間々(あいあい)にかすかに櫓の音が聞える...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...耳をすますと、風と雨との音に交(ま)じって、やはりことりことりと戸を叩いています...
豊島与志雄 「正覚坊」
...途端に何か音がしたように思って耳をすます...
中島敦 「光と風と夢」
...わかる筈だと思ひますが」平次はさう言ひながら壁隣りへヂツと耳をすますのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「どうして、わかる?」「安養寺(あんようじ)の鐘が鳴りよる」そういわれて、耳をすますと、未明の空気の奥底に、余韻をながく引いた鐘の音が、かすかに、ひびいていた...
火野葦平 「花と龍」
...娘たちの笑い声にじっと耳をすます...
堀辰雄 「三つの挿話」
...――何だねえ? かたきの、首のと!と、彼女は呆気(あっけ)にとられながら、――この次の狂言の、筋のはなしでもあるのかしら? いいえ、それとは思われない――でも、あの、雪之丞がかたき持ち? あろうことかしら?妙に胸が、どきついて来るのを押えて、耳をすますと、中では、当の女がたが――「わたしにいたせば、思い切って、一日も早く、片っぱしからいのちも取ってつかわしたいのでござりますが――父親の、あの長の苦しみ、悶(もだ)えを考えますと、さんざこの世の苦しみをあたえたあとでのうては、一思いに刃を当てたなら、かえって相手に慈悲を加えてやるような気がされますので――でも、お師匠さま、三斎の娘ずれと、言葉をかわし、へつらえを口にするときの、心ぐるしさ、お察しなされて下さりませ」この人にだけしか、口に出来ぬ愚痴(ぐち)をも、今夜だけはいえるよろこびに、雪之丞の言葉は涙ぐましい...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...――ああ、みんな、父御(ててご)のお引き合せ、御亡魂(ごぼうこん)の御念力じゃ――このわしの前で、二人が二人べらべらと、昔の悪事をしゃべり出そうとは――彼は、ガクガクと、身ぶるいがして来るのを、一生懸命に押えながら、耳をすます...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「あっ……」すッくと立って耳をすますと...
吉川英治 「江戸三国志」
...「篝、松明はおろか、耳をすますと、馬のいななき、馬蹄の戛々(かつかつ)、木之本を中心として、まことに、凡事(ただごと)ならぬ物声にござりまする...
吉川英治 「新書太閤記」
...屋根の雪なだれ――かと、思っていた物音に、耳をすますと、陣太鼓...
吉川英治 「無宿人国記」
便利!手書き漢字入力検索