...また耳をすますのであった...
海野十三 「火星兵団」
...耳をすますと、島のまわりには、うちよせている波の音とちがった、ドドドド……という、きみの悪いひびきが、どこからか、聞こえてきます...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...ふと気がついて、耳をすますと、どこか上の方から、子供の泣声が聞えて来る...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...耳をすますと、生き物の呼吸が聞える...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...心配そうに耳をすますではありませんか...
江戸川乱歩 「鉄人Q」
...少年「山彦(やまびこ)がまた歌い出したよ」少女「そうね」(耳をすます)歌が終ると...
竹久夢二 「春」
...耳をすます)なんて暗いんだ! なぜこう胸さわぎがするのか...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...ロパーヒン (耳をすます)聞えないな……(小声で口ずさむ)「金(かね)のためならドイツっぽうは...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...彼はただ鋸のかすかな音や人声に耳をすますきりで...
豊島与志雄 「古木」
...耳をすますと、風と雨との音に交(ま)じって、やはりことりことりと戸を叩いています...
豊島与志雄 「正覚坊」
...そしてあたりがしいんとしてきて、耳をすますと、まだ外には、仲間がいくたりも、十も百も千も、たくさんいるらしんです...
豊島与志雄 「山の別荘の少年」
...耳をすますと、切々たるその叫声は、人殺し人殺しと連呼しているように聞きとれるのである...
久生十蘭 「魔都」
...――何だねえ? かたきの、首のと!と、彼女は呆気(あっけ)にとられながら、――この次の狂言の、筋のはなしでもあるのかしら? いいえ、それとは思われない――でも、あの、雪之丞がかたき持ち? あろうことかしら?妙に胸が、どきついて来るのを押えて、耳をすますと、中では、当の女がたが――「わたしにいたせば、思い切って、一日も早く、片っぱしからいのちも取ってつかわしたいのでござりますが――父親の、あの長の苦しみ、悶(もだ)えを考えますと、さんざこの世の苦しみをあたえたあとでのうては、一思いに刃を当てたなら、かえって相手に慈悲を加えてやるような気がされますので――でも、お師匠さま、三斎の娘ずれと、言葉をかわし、へつらえを口にするときの、心ぐるしさ、お察しなされて下さりませ」この人にだけしか、口に出来ぬ愚痴(ぐち)をも、今夜だけはいえるよろこびに、雪之丞の言葉は涙ぐましい...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...一寸手をとめて耳をすます...
宮本百合子 「一日」
...遠い方へ耳をすますようにしている桃子...
三好十郎 「冒した者」
...……耳をすますようにしている...
三好十郎 「胎内」
...何かに耳をすます眼つきをして「誰か來たよ」ポツンと言つた...
三好十郎 「肌の匂い」
...屋根の雪なだれ――かと、思っていた物音に、耳をすますと、陣太鼓...
吉川英治 「無宿人国記」
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