...背後の山鼻から生えた老松の枝がさし出して直ぐ頭の上まで来ていることに気がつく...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...老松一株翼然として天を摩するさま...
大町桂月 「杉田の一夜」
...婆様の老松(おいまつ)やら浅間(あさま)やらの咽(むせ)び泣くような哀調のなかにうっとりしているときがままございました程で...
太宰治 「葉」
...魯文は露店へ立ったままで筆を執って「鯰の老松」という戯文と下画を書き...
田中貢太郎 「死体の匂い」
...年をへた老松(ろうしょう)は...
壺井栄 「二十四の瞳」
...大昔から何かにつけて目じるしにされてきた名物(めいぶつ)の老松が難(なん)にあったのを...
壺井栄 「二十四の瞳」
...姐(ねえ)さん株の福太郎と春次が長唄(ながうた)の地方(じかた)でお酌が老松(おいまつ)を踊ると...
徳田秋声 「縮図」
...半蔵御門(はんぞうごもん)を這入(はい)って吹上御苑(ふきあげぎょえん)の裏手なる老松(ろうしょう)鬱々たる代官町(だいかんちょう)の通(とおり)をばやがて片側に二の丸三の丸の高い石垣と深い堀とを望みながら竹橋(たけばし)を渡って平川口(ひらかわぐち)の御城門(ごじょうもん)を向うに昔の御搗屋(おつきや)今の文部省に沿うて一(ひと)ツ橋(ばし)へ出る...
永井荷風 「日和下駄」
...表慶館(ひょうけいかん)の傍(かたわら)に今なお不思議にも余命を保っている老松の形と赤煉瓦の建築とを対照して...
永井荷風 「日和下駄」
...老松は絶壁を下りてリノリウムに立つ...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...或ひは舞が変つたり(例へば「老松」の「紅梅殿」でいふならば...
野上豊一郎 「演出」
...母屋から廊下で續いた二階造りの離屋、それを抱くやうに、西側に繁つて居るのは、屋號の老木屋といふのを生んだ、巨大な老松で、恐らく江戸開府以前からのものでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...窓外に老松の枝が蜘蛛の巣のやうに掛つて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...老松町の六畳の間に...
火野葦平 「花と龍」
...宮を圍んだ老松は陰氣な影を映してゐる...
正宗白鳥 「入江のほとり」
......
三好達治 「朝菜集」
...「おれが老松城の城主だということに誤りはないか...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...うしろに画(えが)いてある一幹(いっかん)の老松(ろうしょう)のほか...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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