...老杉を通して城山の今を盛りの櫻を左に見...
今井邦子 「伊那紀行」
...十間四方の本堂、仁王門をひかへ、觀音堂をひかへ、一切經藏をひかへ、鐘樓をひかへて、老杉の森の中に、燦然として光る...
大町桂月 「鹿野山」
...老杉の間を行きつくせば...
大町桂月 「冬の榛名山」
...老杉の下の小路くらく...
大町桂月 「房州紀行」
...全體に老杉しげる...
大町桂月 「房州の一夏」
...堂前老杉の偉大なること...
大町桂月 「北條より一ノ宮へ」
...老杉、石壇を狹み、左右にひろがる...
大町桂月 「妙義山の五日」
...真っ闇な老杉に囲まれて...
橘外男 「仁王門」
...老杉しんしんとして霧がふかい...
種田山頭火 「四国遍路日記」
...高い山の上では老杉の頂から白い雲が...
近松秋江 「黒髪」
...この小屋の上にそびえた美しい老杉(ろうさん)までがそのために物すごく恐ろしく無気味なものに感ぜられた...
寺田寅彦 「写生紀行」
...上野公園の老杉古松の枯れ行くさま予想以上なり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...「占(し)めた、お月様が出たよ」老杉の間から投げられた光を仰いで、行手を安心する駕籠舁の声を、駕籠の中で竜之助は聞いて、「ああ、雨がやんだか」「ええ、雨がやんでお月様が出ましたよ、もう占めたものです」「この分だと、大見晴らしから小仏の五十丁峠で、月見ができますぜ」しかしながら、山駕籠は別段に改まって急ぐというわけでもなく、老杉の間の、この辺はもう全く勾配はなくなっている杉の大樹の真暗い中を、小田原提灯の光一つをたよりにして、ずんずん進んで行きます...
中里介山 「大菩薩峠」
...それで」「それで虎が上野の老杉(ろうさん)の葉をことごとく振い落すような勢で鳴くでしょう...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...老杉の間から夏緑の影が鮮かである...
村山俊太郎 「平泉紀行」
...まはり六七尺もある老杉と釣合うて何ともいはれず美事だつた...
室生犀星 「京洛日記」
...みごとな老杉の茂った森をぬけてゆくと...
山本周五郎 「いさましい話」
...自分の身を縛(いまし)めている老杉(ろうさん)の梢をゆさゆさうごかしていう...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索