...海賊旗(ジョリー・ロジャー)――海賊の黒い旗――をその斜桁上外端(ピーク)にひらひらと翻していた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...長い金髪をふさふさと掻き上げて、そこに花綵(はなづな)を巻いて、微風は袖を翻し、裳裾を靡(なび)かせ、しかもゆったりと腰に纏うた飾帯の金銀宝石が陽の光に煌(きらめ)いて、さながら、これも名彫刻から脱け出てきたような、匂(かぐ)わしい気品と香気とを漂わせているのであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...最初の決心をもう意気地もなく翻して...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...寝椅子に横になって小説を読んだり流行雑誌の頁を翻したりして時をつぶした...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「頸の上のアンナ」
...白い腹を翻して跳び上ることもある...
外村繁 「澪標」
...多くは吸物椀へ翻して...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...それを翻して転換するとすれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...こういった風な女は、生活に後を残さないで、きれいさっぱりと、身を翻して行く...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...誰かが遠くから路を降りて来る……青い波蘭婦人服(クントゥーシュ)をひらひらと翻しながら……頭には金色の舟型帽(カラーブリク)が輝やいてゐる……...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...手持ぶさたになつて枕元の書物を翻したりした...
牧野信一 「剥製」
...身を翻して奴の頤の下をすり抜ける瞬間に...
牧野信一 「剥製」
...自分の子の好侶と思い翻してこれを乳育(そだつ)る...
南方熊楠 「十二支考」
...その大規模な歴史の廃墟のかたわらに、人民の旗を翻し、さわやかに金槌をひびかせ、全民衆の建設が進行しつつあるとはいいきれない状態にある...
宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
...児島は一しょに涙を翻したかも知れない...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...どうもお豊さんがそう急に意を翻したとは信ぜられない...
森鴎外 「安井夫人」
...友だちとの愛情やつき合いのつとめを翻して自分に向けかえることができるものはそうしなさい...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どうぞ」そう云って身を翻し...
山本周五郎 「さぶ」
...それより疾(はや)く伊兵衛は身を翻して階段の半ばまで跳退いていた...
山本周五郎 「夜明けの辻」
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