...沼の上には翡翠(かわせみ)が...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...翡翠の耳環の下がつた頭をぐつたりと後へ仰向(あふむ)けた儘...
芥川龍之介 「南京の基督」
...翡翠(ひすい)を銜(くわ)えた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...その夜の抱月氏の眼は矢張り翡翠(ひすい)のそれのやうに寂しかつた...
薄田泣菫 「茶話」
...涙(なみだ)ぐむ小木(をぎ)の翡翠(かはそび)...
薄田淳介 「白羊宮」
...翅(はね)など白珊瑚と翡翠(ひすい)の骨組に水晶をのべてはったようなのが露にぬれてしっとりとしている...
中勘助 「妹の死」
...翡翠(ひすい)の光を集めたようにかがやきましたので...
中里介山 「大菩薩峠」
...透明な薄翡翠(ひすい)色の夢のような世界の中で...
中島敦 「環礁」
...乳に溶かした翡翠だ...
中島敦 「環礁」
...嶮しい白い山、翡翠の空、羊の切身のやうな土の色、灰色の都市、田舍の赤屋根、寺院の尖塔、サボテンの舞踏、橄欖の群落、エル・グレコの青い繪、ゴヤの黒い繪、さういつたものが限りなく記憶のインデックス・ケイスに詰まつてゐて、何を見てもそれ等のものが比較のために顏をのぞけるのだつたが、さうしてそれが懷かしまれるのだつたが、不思議にも、汽車に乘つてしまふと、そんなものはすべてピレネーの連山と共に遙かの後(うしろ)の方へ後(あと)じさりして、行手のパリの空のみがしきりに氣になりだした...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...金庫には翡翠および夜光石をもつて充たされたることを感應せることにより...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...美(うつく)しい緑色(みどりいろ)の翡翆(ひすい)の小(ちひ)さい勾玉(まがたま)が七十(しちじゆう)ばかりもぶら下(さが)つてをりまして...
濱田青陵 「博物館」
...柳に翡翠といふのを題にして戯れに俳句十首を作つて見た...
正岡子規 「病牀六尺」
...翡翠(ひすい)とも琅(ろうかん)ともくらべ難い眼のさめるような美しい色をしていた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...その中の翡翠(ひすい)色の羽根布団を押除(おしの)けて一つの驚くべき幻影がムクと起上った...
夢野久作 「冥土行進曲」
...青蟹や帆立貝――参木は翡翠(ひすい)のような家鴨の卵に象牙の箸を突き刺して...
横光利一 「上海」
...翡翠に飾られた店頭の留木(とまりぎ)には...
横光利一 「上海」
...秀八が挿(さ)している翡翠珠(ひすいだま)は...
吉川英治 「春の雁」
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