...稀(まれ)に見る義理堅い――いや...
海野十三 「すり替え怪画」
...「私は山北と申す処の者でございますが、小さい時に両親に別れて、伯父伯母の世話になって大きくなりましたところで、此の比、其の伯父が病になって、其の日の活計(くらし)にも困るようになりましたから、私は従来(これまで)の恩がえしに、身を売りたいと思いましたが、義理堅い伯父故、知らしては許可(ゆる)しませんから、こっそり知人(しりびと)に相談しておりますと、伯父の家へ出入する菊次と云う者が、幸い長崎の丸山から女を抱えに来ておる者がある、其の者に逢わしてやろうと申しますから、私は誠とおもいまして、今日の夕方、そっと家を出て、其の男と謀し合してあった場所へ往って見ますと、もう来ておりましたから、後から跟いてまいりますと、私を山中の寂しい処へ伴れ込んで、手籠にしようといたしましたから、私は死んでもそんな悪徒(わるもの)の自由になるまいとおもいまして、此処まで夢中になって逃げてまいりましたが、もう苦しくて、歩けないようになりましたから、倒れておりました、どうかお援けくださいませ」と、女は涙声になって云った...
田中貢太郎 「魔王物語」
...正直なところそれは義理堅いと云うよりも寧ろ極端な我がままと潔癖なのだと...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...尤も彼は病院に居た時から非常に義理堅い女で姉が何かやると屹度返禮をした...
長塚節 「開業醫」
...私の父は昔氣質な義理堅い頑固な人で...
長塚節 「教師」
...義理堅い性質で、この時の北大の講義が中途半端になったからといって、十七年の夏にまた一度講義にきてくれた...
中谷宇吉郎 「湯川秀樹さんのこと」
...「そりゃ兄さんは義理堅いから...
夏目漱石 「行人」
...そういう訳で義理堅い昔の男はけっして惚れなかったね...
夏目漱石 「明暗」
...――その場で縛るつもりでしたが一応親分に相談してからと思って――」「たいそう義理堅いんだな...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まだ亭主の三十五日も濟まないうちから私がそんなことをするものですか」「大層義理堅い人だね」「第一あの女は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私がそんな事をするものですか」「大層義理堅い人だね」「第一あの女は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...親分に任せた方が宜いと思つてね」「恐ろしく義理堅いんだな」「こんな事を聽き込みましたよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...義理堅いやうなふざけた話だ」「その平松屋源左衞門といふのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...妙に義理堅いところがあつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今晩は呑んぢやゐられないよ」「義理堅いことねえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...義理堅いと言はれ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...清川虹子が、いつもの通りパイを持って挨拶に来る、義理堅い奴だ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...義理堅い花柳界を知つたならば...
牧野信一 「蝉」
便利!手書き漢字入力検索